セカンドキャリア支援へBBT大学がアスリート奨学金制度 改めて思い出す天才投手の「現在地」

[ 2022年7月1日 10:05 ]

「アスリート奨学金制度」会見に出席した日本プロ野球選手会・森事務局長(左)、元ヤクルト監督の古田敦也氏(同2人目)、ラグビー元日本代表の廣瀬俊朗氏(右端)
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 【伊藤幸男の一期一会】日本初のオンライン大学として12年前に設置されたビジネス・ブレークスルー大(BBT大)を取材する機会に恵まれた。日本プロ野球選手会と日本ラグビー選手会に所属する選手へ、同大がこのほど「アスリート奨学金制度」を適用するという会見だった。同制度により入学した両競技者の学費半額を奨学金として支援するという。

 オンラインなら、現役選手でもシーズンオフや移動時間を有効活用し、実務型の経営学やIT関連の知識を学べるはず。競技引退を見据え周囲の目を気にすることなく、現役経営者が教員を務める同大学の講義に触れることができる。

 宇田左近副学長は「アスリートは1つの道を成し遂げてきたので“信頼”のブランドを持っている。その方が経営や世の中を学び直すことによって、企業や社会も恩恵を受けるはず」とあいさつ。「その流れを積極的に強め、可能性を広げられれば」とセカンドキャリア支援の意義を説明した。

 ラグビー日本代表の元主将・廣瀬俊朗氏らと会見に出席した日本プロ野球選手会・森忠仁事務局長も同意見だった。「選手会も数年前から現役終了後のキャリアを充実させたいと思っていたので、こういう話が来たら積極的に協定を結んで、選手の選択肢を増やせれば、と思っています」。同選手会は17年、国学院大とセカンドキャリア特別選考入試に関する協定を締結。元選手を対象とし、入学金と年間学費相当額の奨学金を給付する制度を始めたが、時間に制限のないオンラインなら活用できる幅が広がる。

 先日、五輪代表に選出された元プロ野球投手が窃盗の有罪判決を言い渡された。還暦超えの記者は短い全盛期を取材したが、ユニホームを脱いでも、世間に甘える生き方は変えられなかったのだろう。

 幸い昨今の野球界は第一線を退いても周囲のサポートが充実しつつある。要は本人の自覚次第。引退後まで注目されるのは迷惑かもしれないが、道を極めたアスリートだからこそ「第2の人生」へ踏み出す時、応援し続けてくれたファンの存在を思い出してほしい。

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2022年7月1日のニュース