巨人・菅野 “雪辱”の誠也斬りでG連敗脱出 過去の配球から一転 2回の「内角攻め」が布石

[ 2021年9月13日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人2-1広島 ( 2021年9月12日    マツダ )

<広・巨>試合に勝利し決勝弾を放った小林(中央)を笑顔で迎える菅野(右)と原監督(左)=撮影・奥 調
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 巨人の菅野智之投手(31)が12日、広島戦に先発し、7回5安打1失点で4勝目を挙げた。4番の鈴木誠也外野手(27)には2回に同点ソロを被弾。今季同カードの登板5試合連続で一発を浴びる屈辱を味わったが、6回には空振り三振を奪った。先発駒不足の中で4年ぶりの中4日で登板したエースが意地を見せ、チームの連敗を6で止めた。

 肉を切らせて骨を断つ。菅野は3度あった鈴木誠との対戦で最初は傷つき、最後に大きなダメージを与えた。そして勝った。

 「一試合を通じて相手もプロなので、同じ配球で抑えられるほど甘くない。粘り強く投げることができた」。4勝目を手繰り寄せたのが、最後のマッチアップだった6回。全5球のうち、4球を外寄りに投げ込んだ。5球目は外角低めのスライダー。右打者から大きく逃げる外角球で、空振り三振に斬った。

 鈴木誠には今季4戦連続で本塁打を浴びていた。スタンドに運ばれたのは全て外角球だった。ならばなぜ、同点の緊迫したこの場面で、決め球に外角球を選択したのか――。

 2回に答えがある。この日最初の対戦では、過去の配球とは一転、3球連続で内角に投じた。3球目は懐のツーシームを、狙い打ちのように左翼席に運ばれた。今季5被弾目。昨季まで同一打者に一シーズンで4本塁打以上浴びたことのなかった菅野にとっては屈辱だが、この「内角攻め」の残像が鈴木誠の頭には残る。6回の外角球はより遠く感じた。

 本来なら東京五輪のエースと4番。だが右腕はコンディション不良で辞退を決断した。大会後に、稲葉監督から直筆のサイン入りユニホームが贈られた。同監督の訪問を受けた9日は決勝の舞台であった横浜スタジアムで練習を行った。4年ぶりの中4日登板に向け、平地で捕手を座らせて黙々と投げ込んだ。

 6回の空振り三振の前、もう一つ奮い立たせる出来事があった。一塁が空いていた3回2死二塁の2度目の対戦。直前に桑田投手チーフコーチ補佐がマウンドに走り、意思の確認を行った。直後の初球はこの日最速の152キロでボール。その後も3球連続で外角に外して四球で歩かせた。勝負にはいっていなかった。今季状態の上がらなかったエースがどれほど悔しかったか。

 チーム10試合ぶりの勝利。「みんな疲れていますし、厳しい戦いが続いている。残り少ないのでどれだけ腹をくくって自分の仕事が、力が発揮できるか」。相手4番との対戦は屈辱を経て、最後は空振り三振で終えた。(神田 佑)

 ▼巨人・原監督 球持ちが非常に良かった。本来の(菅野)智之に戻りつつある。

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