侍ジャパン・近藤健介の珍走塁 “なぜセーフ?”元NPB審判員記者が検証

[ 2021年8月4日 23:06 ]

東京五輪第13日 野球準決勝   日本5―2韓国 ( 2021年8月4日    横浜スタジアム )

<東京五輪・野球 日本・韓国>韓国に勝利し山田(左)を笑顔で出迎える稲葉監督(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 2―2の同点で迎えた8回1死一塁。近藤健介(日本ハム)が一塁へゴロを放った。韓国は併殺を狙ったが、遊撃手から一塁への送球が逸れて、打者走者の近藤は一塁でセーフとなった。

 タイミングはアウトだったが、ベースカバーに入った投手が正しく一塁ベースを踏むことができなかったと、一塁塁審が判断し「オフ・ザ・バッグ」」(ベースから足が離れたことを示す)の動作でセーフの判定を下した。

 近藤は一塁ベースを通過後、大きくフェア地域側を駆け抜けた。それに気づいた韓国の投手は近藤にタッチしたが、一塁塁審の判定はセーフ。韓国側は抗議し、リプレーによる検証も行われたが、判定は変わらず。後続が続いて、この回に3点を勝ち越した。

 試合の転機となった判定が適切なものだったのか。11年~16年にNPB審判員を務めた記者が公認野球規則に則り、検証したい。

 当該のプレーについて、公認野球規則に次の通り記載がある。【一塁をオーバーランまたはオーバースライドした走者が二塁へ進もうとする行為を示せば、触球されればアウトとなる】

 つまり、近藤が二塁を目指したかが、判定の基準となる。送球はベースカバーに入った投手が確保している。また、近藤が一塁を駆け抜ける際に、バランスを崩していることから二塁を目指したことは考えにくい。

 以上のことから、審判員の下した「セーフ」の判定は適切であったと考えられる。

 記者の審判員時代は、一塁への悪送球がフェンスに跳ね返った際に、一塁で起こるタッチプレーで似たような判断を下すことが何度かあった。だが、今回のような送球が確保されている場面で、打者走者が大きくラインの内側を走るケースは経験したことがなかった。

 レアケースを適切にジャッジした審判クルーに拍手を送りたい。(柳内 遼平)

続きを表示

この記事のフォト

2021年8月4日のニュース