前代未聞「野球と競泳」二刀流!強豪・日大豊山の両部に所属、高校1年生・光永翔音が異例の挑戦

[ 2021年4月20日 06:10 ]

素振りを披露する光永(撮影・白鳥佳樹)
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 前代未聞の挑戦だ。エンゼルス・大谷が「二刀流」で活躍する中、競泳と野球で大成を目指す高校1年生がいる。日大豊山(東京)の光永翔音(しょうおん、15)だ。野球では小6時にロッテジュニアに選抜された強打の外野手、競泳では4月の日本選手権に出場した逸材。ともに強豪の水泳、野球両部に所属する異例の「二刀流」がスポニチ本紙の取材に応じ、将来について語った。

 夢を奏でて羽ばたくようにとの願いが込められた。名前は光永翔音。親しい人々からは「ショーン」と呼ばれる。競泳と野球の両立は、物心ついたころから当たり前だった。

 「メリットはあるかなと思っています。中学時代は野球で成績が伸びなかったら水泳。水泳で成績が出なかったら野球にぶつけていた。どっちも好きです」

 生後6カ月で始めた水泳。小3からジュニアオリンピックに出場し続けて、中3だった3月にはバタフライ50メートル(長、短水路)と100メートル(短水路)で中学男子記録を更新。4月に行われた日本選手権では50メートルバタフライに高校生以下では唯一、出場。予選落ちしたが、現在身長1メートル89の恵まれた体格もあり、24年パリ五輪代表候補にも挙がる。光永も「世界記録を出したい。世界記録を出せば五輪で金メダルを獲れます」と明確な目標を描いている。

 一方で小1から始めた野球でもすぐに頭角を現した。小6で右打ちの強打の外野手としてロッテジュニアに選出。最近5年で全国制覇3度の強豪、京葉ボーイズの主軸を務めた。中3の昨年春、夏は全国大会出場権を得たが、コロナ禍で大会中止。これが光永に二刀流挑戦継続を決断させることになった。コロナがなければ「野球か水泳かを選んでいました」。両競技とも不完全燃焼に終わったことで、2つの夢を追う決断をした。

 決心した後、両親と2競技両立の進路を模索。野球では関東と東北の甲子園常連校からも誘いを受けた。だが、ほとんどは一方に専念し、トップを目指すことを打診された。違ったのが日大豊山だった。昨年8月の体験入部で意向を知った水泳部の竹村知洋監督が、野球部の福島直也監督に「両方の可能性を試せるのは日大豊山しかない」と提案。組み合わせも異例の2競技への挑戦が、本格的にスタートした。

 異例の挑戦は困難が伴う。中1の野球の試合中、打席に立つと相手から「泳げ!」「場所を間違えてるぞ!」と心ないヤジも飛んだ。それでも「満足したら終わりです。最近、思うようになりました」と負けない。母・千夏さん(45)は「水泳が心を強くしたと思う。自分と同じ二刀流で悩んでいる人の原点、希望になりたいという思いがある」と光永の本心を代弁した。

 日の出前の午前5時。光永は野球、水泳、勉強用と3つのバッグを背負い自宅を出る。朝練は水泳部、放課後は野球部の練習に参加。「つらい。正直、先のことは考えられない」というが両競技が心から好きだ。「水泳の方が結果が分かりやすい。野球は楽しいですよ」。無限の可能性を持つ大器の歩みが新たな道となる。(柳内 遼平)

 ◆光永 翔音(みつなが・しょうおん)2005年(平17)6月28日生まれ、千葉県松戸市出身の15歳。上本郷小1年時に常盤平ボーイズで野球を始める。松戸市立第六中では京葉ボーイズでプレー。競泳は中学までダンロップスポーツクラブ北松戸に所属。今春、日大豊山入学。憧れの選手は小学5年時にテレビで共演した競泳の瀬戸大也と元阪神の藤川球児。1メートル89、76キロ。右投げ右打ち。

 ▽日本大学豊山高等学校 野球部は00年夏に甲子園初出場。水泳部は東京都高等学校選手権で優勝60回、インターハイで総合優勝10回で3連覇中。所属する柳本幸之介(3年)は東京五輪で800メートルリレーに出場予定。所在地は東京都文京区大塚。野球部グラウンドは東京都板橋区中台。松井靖校長。

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