パワー野球の土壌つくったDH制 セも導入への議論が加速するか

[ 2020年11月26日 07:00 ]

セ・リーグにもDH制導入を提唱する巨人・原監督
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 【球界の危機 広がるセパの格差 上】圧倒的な強さでセ・リーグを制した巨人が、日本シリーズでは2年連続でソフトバンクの前に屈辱的な4連敗を喫した。10年以降、セの覇者が日本一に輝いたのは、12年の巨人だけ。4連覇を果たしたソフトバンクの強さとともに改めて浮き彫りになったセとパの力の差を、3回連載で検証する。第1回はパワー野球の土壌をつくっているDH制について――。

 日本シリーズ開幕2日前のこと。日本野球機構(NPB)は全試合DH制の導入を発表した。コロナ禍の中で投手の負担軽減のためにとソフトバンクが申し入れ、臨時実行委員会で協議。セの複数球団が難色を示したというが、今季限りの特例として決まった。

 85年の阪神―西武以来35年ぶりとなる全試合DH制。当時は阪神が猛打で制したが、35年の時を経て、異例のルール変更はセの王者に厳しい現実を突きつけた。4試合で巨人のDHは打点ゼロ、対するソフトバンクは全試合DHで出場したデスパイネが6打点。この結果以上に打力の差は明らかで、巨人に限らずセのチームは13年の楽天―巨人第7戦からシリーズのDH制試合で21連敗となった。

 DH制について、巨人・原監督はこう語っている。「五輪、WBCなど世界的にDH制を採用している。パ・リーグ全体的に言えるところで、レベルも高くなってくるでしょうね。DH制というのが相当差をつけられている感じがある」。原監督はこれまでもレギュラーシーズンのセ・リーグへの導入を提唱。すでにセの理事会でも来季からの導入が議論されている。ただ、ここでも導入には否定的な球団が複数あり、今回のシリーズの結果を受け議論がどう進むか注目だ。

 打線の中に1アウトを計算できる投手がいるかいないか。この差はかなり大きい。打線に切れ目がなくなって、投げる投手は全く気を抜けない。投手力が上がるのは必然で、打線もより攻撃的になって打力が上がる。日本のDH制は、制度導入で人気回復に成功した大リーグのア・リーグに倣い、パ・リーグが1975年に導入。当時は人気回復には直結しなかったが、45年を経てパの実力向上の一翼を担っている。

 コロナ禍の今季、大リーグはナ・リーグもDH制を採用。投手の故障リスクを軽減するためで、来季も継続される可能性が高い。DH制と実力格差の相関関係。セ・リーグの危機感は募るばかりだ。 (特別取材班)

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