「田沢ルール」撤廃も…メジャー夢見る若い選手に知っていてほしい10年前の田沢の決意

[ 2020年9月12日 09:00 ]

笑顔でサムアップする田沢(撮影・吉田 剛)
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 プロ野球はドラフト指名を拒否し海外球団入りした選手のNPB入団を制限する、通称「田沢ルール」の撤廃を決めた。BC埼玉の田沢純一投手は「選択肢が増えて素直にうれしい」「田沢ルールに続く選手が出てきたときに障害にならなくなったことが一番うれしいです」と話した。

 レッドソックスに入団して1年くらいたった頃だろうか。「自分の決断に対して、自分だけに課されたルールであるならば、それは致し方ないかなと思います。それが他の選手に影響するものならば…。これ以上、僕が何かを言うと…」。思い悩んだ口調になった。自分よりも他の選手への影響を、10年以上ずっと田沢は考えてきていた。

 田沢クラスの才能が近年直接海を渡ったことはない。それが「田沢ルール」の影響があったかといえば、統計をとっていないので分からない。ただ、「日本球団の育成システムの充実」が図られ「海外移籍のプロセス」がはっきりとルール化された今、撤廃されるのは自然の流れだったろう。「当時は対MLBというところが大きかった。日本の野球を守ろうと。それが数年間で環境も大きく変わった」と日本野球機構(NPB)の井原事務局長も話している。

 日本球団の育成環境の充実はもはや言うまでもない。海外FA権取得への年数の均衡を図り、若い選手の早期メジャー移籍を実現するためにも、カギは、改定交渉のたびに議論されるポスティングシステムである。

 大谷翔平選手が日本で5年間プレーして海を渡った。23、24歳で移籍し、メジャーでプレーできるという実績を作った。このシステムを維持できれば、もはや人材流出阻止のルールを作る必要はなくなる。

 もっと早く、20、21歳でメジャーデビューできると考えるポテンシャルを秘めた選手は、そのまま日本球界を経ずにメジャーを目指したっていい。ただ、その場合は1、2年やって駄目なら…と甘い考えだけは捨ててもらいたいと思う。

 田沢がそうだった。「何年メジャーでやれるか分かりませんが、アメリカでいらないと言われたら終わり。覚悟はできている」。10年前に聞いたその決意を、将来メジャーリーグを夢見る若い野球人に送りたい。(記者コラム・倉橋 憲史)

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