牛島氏 特別ルールのシーズンを分析 1軍枠プラスで中継ぎ増 引き分け狙いも

[ 2020年6月9日 07:00 ]

牛島和彦氏
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 新型コロナウイルスの感染拡大により開幕が延期され、日程も短縮されたシーズンに特別ルールが導入される。1軍登録人数、ベンチ入り人数が増えることで各チームの戦略に変化はあるのか。かつて横浜(現DeNA)の監督も務めた本紙評論家の牛島和彦氏(59)が、各球団の戦い方などを分析した。

 1軍登録、ベンチ入り選手の人数が増えるのは、過密日程での選手の負担軽減につながる。同時に選手層の厚さの差が有利、不利に直結する。各チームがどのような戦略を持って選手枠を使うか。

 まず守りを重視する場合。連戦などを考慮し、増えた枠に中継ぎ投手を入れるパターンだ。監督としては投手を増やすのが心理的に一番安心する。中継ぎを一枚加えれば、早めの継投など思い切った采配が可能。特に蒸し暑い時季の開幕だけに、投手を増やすチームが多いのではないか。

 逆に攻撃に比重をかける形もある。代打、代走など「スペシャリスト」をベンチに置けば作戦面の選択肢が広がる。攻守のバランスを考えて選手を入れ替えるケースもあるだろう。指揮官がチームの特色、戦力をいかに把握し、うまく駒を生かせるかが勝負になる。

 試合自体も延長10回打ち切りなどの時短ルールが採用されれば、引き分けが増える。私が中日時代に優勝した82年は「3時間20分ルール」があり、中日の引き分けは19。2位・巨人と8厘差だった。今季は試合数も少ないだけに勝率が重要だ。引き分けをプラスと捉えれば、同点でも勝ちパターンの投手をつぎ込むなど、リリーフの起用法は変わってくる。延長10回から逆算した継投。中継ぎの駒の数、試合の流れを読んだ上での監督の決断力が鍵を握る。

 開幕まで各チームとも実戦は残り6試合。2日に練習試合を再開してから、34試合で計87本塁打が飛び出すなど「打高投低」の傾向が顕著だ。やはり投手にとって実戦登板の数が少ない。投手はブルペンで投げるより、打者を相手に投げた方が仕上がりは格段に早いものだ。19日の開幕時点で100%でなくても、そこから状態を上げる必要性が出てくる投手もいるだろう。(本紙評論家)

 ≪平均得点上昇≫6月2日以降の練習試合における12球団の1試合平均得点は4・72。昨シーズンの4・26と比較すると0・46上がっている。平均打率も・260で、昨年平均・252より上昇している。球団別打率は巨人が・300で12球団トップ。得点では西武の1試合平均8・25点が最多だ。一方、チーム防御率は平均4・28と、昨年の3・90よりも悪くなっている。阪神は2・50と唯一の2点台だが、4・00点以上が8チームもあり投手陣は苦戦。広島は打率・188、防御率5・51でともに最下位となっている。

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2020年6月9日のニュース