NPB全選手 開幕前にPCR検査へ その後は月に1度のペースで実施

[ 2020年6月9日 05:30 ]

第9回新型コロナウイルス対策連絡会議を終えウェブ上で会見するNPBの斉藤惇コミッショナー
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 プロ野球の臨時12球団代表者会議が8日、オンラインで開かれ、全選手を対象とした定期的なPCR検査の導入を決めた。19日の公式戦開幕前に最初の検査を行う。代表者会議に先立つJリーグとの「新型コロナウイルス対策連絡会議」で、専門家チームから実施するよう提言された。定期検査は、開幕後は月に1度のペースで実施する方針だ。

 事前のPCR検査実施には、安全な開催を求める観点から全12球団が合意した。斉藤惇コミッショナーは「開幕前に検査できるよう努力する。その後、月に1度程度の検査を定期的に行う方針を全球団一致して確認しました」と説明した。対象には選手、監督、コーチ、スタッフのほか、審判員も含めた。

 検査は民間に委託し、唾液のPCR検査で行う方針。日取りは未定で斉藤コミッショナーは「急いでやるとしか言えない」とした。

 代表者会議前に行われた対策連絡会議では「事前検査を開幕前に行う。それ以降は定期的に行う」(三鴨広繁氏)と専門家チームから提言を受け、骨子案が示された。Jリーグの定期検査は2週間に1度の方針だが「サッカーほどボディーコンタクトはなく月に1度が妥当」(同)とされた。巨人・坂本らのように無症状の陽性者の復帰は、24時間以上の間隔で2回続けて陰性を確認することを原則とした。発熱などの体調不良時には、速やかに緊急対応検査としてPCR検査を受けることも盛り込まれた。

 事前検査について、これまで斉藤コミッショナーは「やりたいが難しい問題がある」と漏らしてきた。ただ新規感染が減少し、唾液によるPCR検査の認可などで、「需要と供給」のバランスが好転してきた。「検査がぎりぎりな状況で野球選手が全員PCR受けますというのは、現実的に認められるものではなかった。それが変わってきた」と続けた。

 今後は陽性者への対応を詰める必要もある。「現在は(自宅待機などで)14日間見なくてはいけない」とした上で「厚生労働省や関係者と相談しながら、健康な状態に戻り、陰性が確定したら(速やかに)戻れるようにしたい」と話した。感染者が増えるなど試合挙行に影響する事態については「そういう時にはすぐに臨時実行委員会を開く」と臨機応変にあたる構えを示した。(後藤 茂樹)

 ▽PCR検査と方法 ウイルス特有の遺伝子配列を、専用の装置で増幅して検出する検査。当初は検体として、鼻や喉の奥の粘液を綿棒でこすって採取していたが、この方法は、せきやくしゃみが出やすく検体を採取する人の感染リスクが高く、2日には厚生労働省が唾液を検体として検査を行うことを認めた。十分なウイルス量を得るため、直前の飲食や歯磨きは控える必要がある。検体採取手順以外は検査方法に大きな変更はない。

 【専門家の見解】
 ▼三鴨広繁氏(愛知医大感染症科部長)データが蓄積されて、(PCR検査は)唾液でも十分対応できることが分かった。具体的にどういう機械を使って検査しているのかはきちっと開示していただくことが大事。無症状の陽性者、濃厚接触者は一定の健康観察期間が必要。今は14日間と定められているけれども、ここは我々も(短縮できないか)厚労省に医学的な見地から働きかけていきたい。

 ▼賀来満夫氏(東北大名誉教授)安心、安全のために(定期的に)PCR検査をすることを考えていくことが必要。新しい情報が出てくる中で、状況の変化に応じるといったニュアンスも入れながら骨子案を作らせていただいた。(観客を入れるタイミングや人数などは)今後の感染状況を見ながら、台湾(プロ野球)の取り組みなども見ながらやっていく必要がある。

 ▼舘田一博氏(東邦大医学部教授)これまでは症状が出た人や濃厚接触者を対象とした検査が一般的だったが今、考えていかないといけないのはスクリーニング検査(症状が出ていない人への検査)。ここでの陽性者をどのように考えていくかは今から議論して、ルールを作っていかなければいけない。走りながら考えて、変えていかなければいけない。

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2020年6月9日のニュース