【槙原寛己 日本シリーズ大分析1】巨人・大竹、微妙な心理変化で被弾

[ 2019年10月21日 08:40 ]

SMBC日本シリーズ2019第2戦    巨人3―6ソフトバンク ( 2019年10月20日    ヤフオクD )

7回無死一塁、大竹から左前打を放つグラシアル(撮影・尾崎 有希)
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 ソフトバンクが一発攻勢で連勝した日本シリーズ第2戦。本紙評論家の槙原寛己氏(56)は、7回に巨人の2番手・大竹が決め球シュートを打たれたことが勝敗を分けたと分析した。一方、ソフトバンクバッテリーは第1戦で意識付けした内角と高橋礼の球速表示以上に威力ある直球を生かしたと指摘。ただ、敵地で連敗の巨人も巻き返しは可能とした。

 投手心理は微妙なものだ。特にシリーズのような大きな舞台ではなおのこと。試合を決めた7回。好投の巨人・メルセデスを救援した大竹は、その投手心理から決め球シュートを打たれてしまった。

 この回、先頭デスパイネの三ゴロを山本がエラー。代走に足のスペシャリスト・周東が出てきて球場の雰囲気が変わった。スコアは0―0。ここでの失点が致命傷になる。大竹はけん制球、クイックで周東の足を警戒。しかし、投手は早く投げようとすると、どうしても体が突っ込む。大竹も例外ではない。間合いが早くなり、打者の手元で曲がるのが特長の大竹のシュートがわずかに曲がりが早くなった。3―1から5球目。ゴロを打たせにいったシュートは曲がりが早く、グラシアルに左前打された。

 一塁走者・周東はスタートを切っていて一、三塁。続く松田宣にはストライクを取りにいった初球の外角直球がボールとなり、完全に内角シュートを待たれてしまった。松田宣は引っ張らずに、おっつけ気味の打撃。シュート打ちの理想的な打撃でバックスクリーンに打ち込まれた。グラシアルの左前打、松田宣の3ランは周東の足が大竹のシュートの精度を落とした結果だった。

 それにしても、グラシアルの内角打ちは見事だった。第1戦の逆転2ランもこの日の一打もボール気味。それを詰まらずに腰の回転で実にうまく打っている。こういう打撃をされると、巨人バッテリーはグラシアル対策を見つめ直さなければいけない。第3戦以降の大きな課題だ。それと同時に、より警戒しなければならない周東の足。彼が出てきただけでスタンドが沸き返り、球場全体の雰囲気が変わった。グラシアル同様に、どう対応するか課題だろう。

 ○…大竹の一番の武器はシュートで、今季投じた435球中、161球で全体の37.0%。救援に専念したことで、昨季の31.9%からさらに割合が上がった。球種別成績を見ても、38打数8安打、被打率.211の好成績を残していた。レギュラーシーズンでシュートの被本塁打は0だったが、日本シリーズの大舞台で手痛い一発を浴びてしまった。

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