新井貴浩氏 大船渡・佐々木君の登板回避、第三者ではなく本人がどう感じたか

[ 2019年8月6日 09:46 ]

大船渡の佐々木朗希投手
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 【新井さんが行く!】今年も夏が始まる。6日に甲子園大会が開幕。中学生の頃から30年間やる側だった野球を見る側になった。改めて考える。高校野球にこんなにも心が動かされるのは、なぜだろうか。

 夏の大会は一度負けた時点で終わりを迎える。高校時代、この仲間たちとずっと野球をやりたい、終わりたくない…と思っていた。いまの球児たちも同じだと思う。終わりたくない…と思って一生懸命やっているのに、終わりへと向かっている。勝って終わることができるのは全国で1校しかない。一見、矛盾や相反してるように映る目標へひたむきに向かう姿が美しく、見ている人は胸を震わせ、一挙手一投足に心が動かされる。

 地方大会で敗れ、既に“終わり”に到達した球児たちは多い。大船渡・佐々木朗希君も、その1人だ。今回のことは彼が素晴らしい素質を持ち、高い注目を集めていたことで周りの議論が盛り上がってしまった。

 第三者の間でいろんな意見が出ても正解は出ない。そもそも正解はあるのか。日程など制度の是非は別として、一番大事なのは本人がどう受け止めているか…だと思う。彼、そして、一緒に戦った球友たちが納得していれば、それでいい。終わったばかりで、いまは悔しさの方が強く残り、答えを出すには月日を重ねる必要があるかもしれない。決断した監督も批判は覚悟の上だったと思う。

 高校野球の監督と選手は親子の関係に似ている。親元を離れて初めて親の愛情を知ることがあるように、今回も時間を置いて振り返ったときに、試合直後とはまた違う感情が芽生えるかもしれない。愛情は送り手がいくら「愛情を持って」と強調しても、受け手が愛情を感じなければ成立しない。日々のコミュニケーションがいかに大切か。改めて感じさせられた。

 佐々木君はこれからも、いや、これまで以上に注目され、少しのことでも騒がれることになると思う。どのステージへ進んでも、応援したい。(スポニチ本紙評論家、毎月第1火曜日掲載)

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