オリックス・山崎福 さらなる成長につながる「初ホールド」達成

[ 2019年6月22日 08:15 ]

<オ・D(1)>4番手で登板した山崎福(撮影・坂田 高浩)
Photo By スポニチ

 6月16日の阪神戦で、ひっそりと「勲章」を手に入れた男がいる。オリックスの山崎福也投手だ。意外だったが、自身初ホールドを達成。今季すでに2勝を挙げているが、中継ぎ投手の指標となるホールドも、十分に価値がある。「勝ちもうれしいですが、ホールドも素直にうれしかったです」と、少しだけ笑みを浮かべた。

 この「ホールド」が、山崎福也を成長させてくれるのではないか、と私は思った。

 本来は先発投手。心の奥底に先発への思いはあるだろうが、現状のチーム状況では、リリーフの一角が持ち場だ。ただ、後ろ向きな気持ちはない。「試合で投げさせてもらえることは、本当にうれしい。今までなかなか投げる機会がなかった。1点差負けでの登板とか、去年ならなかった。日々、経験することが多いです。投げる度に学べるし、色々試せることもあります。レベルアップできている実感があります」。これまでの1シーズン最多登板は17試合(15、16年)。今季は6月16日の時点で、もう23試合に登板している。チームのために仕事をしているという実感が原動力となっているようだ。

 もう何年も前の話だが、4月のある日、2軍降格が告げられた翌日に、山崎福と2軍の練習場で顔を合わせた。「一睡もできませんでした」。その通り、目は真っ赤に充血していた。降格した夜は、必ずそんな眠れない夜を過ごすのだという。目を真っ赤にして、鬼のような形相で、外野をランニングで往復していた姿が思い出される。それはそれで彼の良さでもあるだろうが、今の感じも成長を助けているように思った。

 「上にいることが大事。打たれても前向きに、一喜一憂せずにやっています。次の日にはすぐに出番がある。巻き返しのチャンスもあるので」

 精神的な変化だけではない。ブルペンで様々な試合展開を見て、それを自分の当てはめることで収穫が得られる。「走者の出し方、点の取られ方、良い悪いが少しずつ分かってきた」。こういう野球の流れは、いずれ先発に戻ったときにも役立つ。これこそ、本当に良い経験だと思う。

 体も本当に強くなった。「イニングまたぎ」と呼ばれる複数回にわたっての投球は、6月16日ですでに11回。シーズンの半分も終わっていない状況では、かなり多い気がする。「イニングまたぎ」の大変さは、私も知っている。それはかつて阪神必勝継投と呼ばれた「JFK」の「K」こと久保田智之や、オリックスで2年連続最優秀中継ぎ投手に輝いた佐藤達也でも、「難しい」と漏らすほど、心身ともに重圧がかかる。そこは先発経験も豊富な山崎福ならではの適応があるのかもしれない。

 いずれにしても、重労働な「イニングまたぎ」を任されていることが、チームでも不可欠な存在だと物語っている。今度どう成長していくのか、楽しみになった「初ホールド」達成でもあった。(オリックス担当 鶴崎唯史)

続きを表示

2019年6月22日のニュース