最後まで温かく見守り続けた菊池の父・雄治さん 子どもに夢与える息子に感慨

[ 2019年4月3日 09:30 ]

3回目の登板に向け調整するマリナーズ・菊池
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 3月21日。マリナーズ・菊池雄星投手(27)の父・雄治さんに電話取材を行った。東京ドームで行われた同日のメジャーデビュー戦で5回2死一、二塁、フルカウントから適時打を浴びて降板。雄治さんは「(開幕)2戦目に投げさせてもらえて光栄です。(白星まで)あと1球でしたね」と感慨深げに話していた。

 息子とは普段からメールなどの連絡のやりとりはしていなかったという。「新聞記事のコメントを見て“そうなんだ”といつも思っています。高校(花巻東)の時からそうですよ。親父がどうこう言っても変わるものではないですから」。温かく見守る父の優しさは電話口からもひしひしと伝わってきた。自身はバレーボール元選手で野球をしておらず「何か言えば“お父さん、野球やってないでしょ”となりますから」と恥ずかしそうに笑っていた。

 菊池が初観戦したプロ野球は00年6月6日に岩手県営球場で行われたイチロー所属のオリックスとダイエーとの対戦。当時8歳の少年は電車とバスを乗り継いで一人で見に行ったという。雄治さんは「フェンスにかぶりついて見ていたらしいですよ」と懐かしそうに回想していた。「今の子供たちに将来の夢を聞いたらプロ野球選手じゃなくて、メジャーリーガーって言うらしいですよ。考えられないですよね」。あの時の息子が今や故郷・岩手の子供たちに夢を与えている存在になっていることが心底うれしそうだった。

 雄治さんは東京ドームに来られない理由については「いろいろありまして」と多くを語ろうとしなかった。のちに体調がおもわしくないと聞いたが、電話口の声は決して弱々しいものではなかった。だからこそ、電話取材のちょうど10日後の3月30日(日本時間31日)にマ軍が59歳での死去を発表した時は信じられない思いだった。

 マ軍は菊池の一時帰国を容認した。大リーグでは「忌引きリスト」に入れば、最長7日間チームを離れることができる制度がある。しかし、菊池は当初の予定通り、4月4日(同5日)のホワイトソックス戦に先発することが決定。スコット・サービス監督は「彼にとって正しいことはここ(米国)に残ること。それはお父さんの遺志だと(菊池が)言っていた」と明かした。

 米本土デビュー戦を終えた菊池にとってホ軍戦は3度目の正直。父への思いを胸に秘め、メジャー初勝利を目指す。(記者コラム・柳原 直之)

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