来秋ドラ1候補の奥川7回11KO封 スカウト絶賛「星稜の前に引っ越さないと」

[ 2018年11月11日 08:00 ]

明治神宮野球大会第2日・高校の部準々決勝   星稜9―0広陵 ( 2018年11月10日    神宮 )

<広陵・星稜>フォークボールを投げる星稜・奥川(撮影・ 久冨木 修)
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 高校の部は準々決勝2試合があり、優勝候補筆頭の星稜は広陵を7回コールドで破り、4強入りを決めた。来秋ドラフト1位候補の最速150キロ右腕・奥川恭伸投手(2年)が被安打3の無四球、11奪三振の無失点と快投。阪神は7人態勢で熱視線を送る中、4回に先制の右越え三塁打を放つなど投打で強烈な輝きを放った。初出場の筑陽学園は桐蔭学園にコールドで圧勝した。

 燃えた。初回の初球に148キロを計測。「状態が良く、勝手に走った」という直球は最後まで威力抜群だった。この日の最速は149キロ。初回の大量失点が目立つ今大会を踏まえ、奥川は気持ちを高めて試合に入った。

 「隙のないチーム。どんなプレーにも動じないようにしました。きっちりコースをつこうと思いました」

 消えた。最後の打者をフォークで空振り三振に仕留めると、右の拳をギュっと握りしめた。「消えるんだね。見たことない球なんだから、お手上げ」。敵将の広陵・中井哲之監督をうならせた宝刀に加え、曲がり幅の大きいスライダーで三振の山を築いた。奥川は「全国で勝つためにはフォーク。よく落ちました」とうなずいた。

 応えた。今夏の甲子園大会後、U18日本代表で国際舞台を経験。中日からドラフト1位指名された大阪桐蔭・根尾は同部屋で、薫陶を受けた一人だ。「投球の組み立てなどを教えてもらいました」。ドラフト後は「おめでとうございます」と電話で祝福し、根尾からは「神宮大会頑張れよ」と励まされたという。敬愛する先輩のゲキに奮い立った。

 うなった。中国大会で創志学園・西から7得点した広陵に対し、7回を被安打3の無四球無失点。11奪三振は、97年の横浜・松坂大輔(現中日)などが記録した大会記録まであと3個に迫る快投だ。圧巻の内容にネット裏からは感嘆の声が漏れた。阪神は和田豊テクニカルアドバイザーら7人態勢で視察。担当の筒井和也スカウトは「見ての通り、一級品。能力はずば抜けている。スライダーは(打者)一巡目では対応できないでしょう。これからの1年間が楽しみです」と絶賛した。

 誓った。星稜は初出場だった1980年に初優勝。松井秀喜氏を擁した91年に2度目の優勝を飾っている。「流れを読み、ピンチで三振が欲しい時に取れる、上手な投球がしたい」。平成最後の大会で、狙うは27年ぶりの頂点だ。新怪物が秋の主役に躍り出た。(吉仲 博幸)

 ▼広島・苑田聡彦スカウト統括部長 担当スカウトは星稜の前に引っ越した方がいいんじゃないかな。来年のドラフトでは間違いなく1位候補に挙がるでしょう。

 ▼中日・中田宗男アマスカウトディレクター 下半身の使い方に工夫が見えるし、見る度に技術が上がる。球速が出るし、変化球も鋭い。投手としての資質が高く、高校生ではトップクラスでしょう。

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