ソフトB摂津、涙の復活白星 粘投5回零封で618日ぶり1勝

[ 2018年5月23日 06:17 ]

パ・リーグ   ソフトバンク5―3西武 ( 2018年5月22日    ヤフオクD )

涙をぬぐいながら、お立ち台に立つ摂津(撮影・中村 達也)
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 ソフトバンク・摂津正投手(35)が、22日の西武戦に先発し、5回3安打無失点で16年9月11日の西武戦以来618日ぶりの勝利を挙げた。10年目の今季は開幕から2軍暮らしが続いたが、今季初先発でチームの連敗を4で止める力投を見せた。打線は5回までに5点を奪い、右腕の復活白星をアシストした。

 一球ごとにスタンドが沸く異様な光景だった。2―0の4回2死満塁。ここを乗り越えれば勝利投手の権利を得る“胸突き八丁”で摂津は金子侑に対し、カウント3―1とボール先行。鷹党の力強い後押しを受けて必死に腕を振る。ファウルで粘られながら投じた8球目。143キロ直球で三飛に仕留めた。ヤフオクドームを包み込むような喝采を浴びた。

 「本当にありがたかったです。あの声援がピッチングにつながりました。本当に感謝しています」

 毎回先頭打者を出塁させながら5回無失点、ベテランらしく102球で粘り抜いた。16年9月11日の西武戦(ヤフオクドーム)以来618日ぶりの白星。お立ち台では涙を隠すように何度も下を向き、言葉を詰まらせた。「(ファーム施設の)筑後で“頑張れ、1軍で待ってます”と言われて(ファンの励ましが)原動力になった。本当にありがとうございます」。頬をぬらし、涙声で2軍戦のビジターにも足を運んでくれた熱心な鷹党へ感謝の気持ちを伝えた。

 プロ10年目、待ちに待った自身の“開幕”は、右前腕部の張りで19日に出場選手登録を外れた千賀の代役で巡ってきた。4月28日のウエスタン中日戦で組んだ市川のミットをめがけ、力を込めた。その分、制球を乱すこともあり5四球。それでも強気に内角を突き、緩急も駆使した。

 12年に沢村賞獲得した、かつてのエース右腕は昨季0勝2敗。オフはほぼ“無休”でトレーニングに励んだ。年明けのグアム自主トレでは、リリースまでのスピードを取り戻すため、体をいじめ抜いた。運動機能を向上させる「ファンクショナルトレーニング」を取り入れ、同行した夫人の和食を食べて体を絞った。

 16年10月25日に誕生した長女へ初めてウイニングボールを送ることができる。「娘が生まれてから勝ってなかったので、死に物狂いという、気持ちだった」。23日に出場選手登録を外れ、次の登板機会を待ちながら備える。「次はもっとしっかりしたピッチングをしてチームの勝利に貢献したい」。6月1日で36歳となる右腕は、この1勝で満足するつもりはない。

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2018年5月23日のニュース