【決断】楽天・牧田 家族と離れるなら…現役続行より父の道

[ 2016年12月5日 11:10 ]

決断2016ユニホームを脱いだ男たち=楽天・牧田明久外野手(34)

家族を愛する牧田は離ればなれで暮らす他球団での現役より、ともに暮らす引退を選んだ
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 愛する家族のそばにいたい。楽天・牧田は「パパ」として生きる道を選んだ。10月23日、球団から戦力外通告を受けた。今季は若手の台頭もあり、1軍での出場は16試合だったが打率・355。足も肩も衰えていない。34歳。現役続行を模索する道もあった。

 「戦力外を伝えられた時は他球団に行って挑戦しようかと思ったが、子供たちのそばにいたいので、引退を決意した」

 良いときばかりではないのがプロ野球選手。故障もあればスランプもある。励みになったのが長女・明花理さん(9)と次女・明香さん(7)の存在だ。「負けようが打てなかろうが、毎日元気だしね」。無邪気な姿が何よりの活力剤だった。だから「家族と離れて野球をするのは考えられなかった」とユニホームを脱いだ。

 ナイターや遠征で顔を合わせられない時は手紙をもらった。「“パパ、ホームラン打ってね”とか書いてあるんですよ」。忘れられない一打がある。32歳の誕生日だった14年6月3日の阪神戦(コボスタ宮城)。この日も娘たちから本塁打をお願いする手紙を渡された。2―3の9回2死一、二塁で右翼フェンス直撃の2点三塁打。自身初のサヨナラ打となり「ホームランにはあとちょっと届かなかったけど、うれしかったね」と娘に自慢できる一打になった。

 近鉄とオリックスの合併による分配ドラフトを経て05年、楽天に入団。球団創設時から在籍する最後の選手となり「楽天1年目は本当に何もないところからのスタートだった」と振り返る。13年の巨人との日本シリーズでは第7戦で本塁打を放ち、球団初の日本一に貢献。チームとともに自らも成長してきた。人一倍強いチーム愛を持てばこそ「楽天で(現役を)終わりたい気持ちもあった」と口にした。今後も球団に残る予定だ。

 11月23日の引退セレモニーでは「毎日パパを一生懸命応援してくれてありがとう」と愛娘たちに感謝し、花束をもらって目を潤ませた。「この体をキープして格好いいパパでいたい」。腹の出た親父にはならない。いつまでも2人の憧れの存在であり続ける。 (徳原 麗奈)

 ◆牧田 明久(まきだ・あきひさ)1982年(昭57)6月3日、福井県生まれの34歳。鯖江では投手で4番も甲子園出場なし。00年ドラフト5位で近鉄入団。04年オフの分配ドラフトを経て楽天入り。1メートル82、78キロ。右投げ右打ち。

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