【WBC前首脳陣の提言】東尾修氏 公式球への対応力には柔軟な判断を

[ 2016年11月9日 12:30 ]

13年大会でWBC公式球の違和感に苦しんだ田中(左)と東尾コーチ

 投手の最大の問題点はWBC球への対応だ。日本の統一球と比べて滑りやすく、感覚には個人差がある。春先の乾燥具合によって対応できなくなることもある。大会直前の強化試合で実際に投げてみないと分からない部分もあり、選手の対応能力を本大会期間中も見極める必要がある。

 強化試合の中で確認すべきは選手個々が抱えたボールに対する違和感をしっかりとチームとして把握すること。オフの間も選手間でコミュニケーションを取ってほしい。その意味で今回はメジャーリーガーもメンバーに入ってくるだろう。若い投手が多いメンバー構成で経験値の高いメジャー選手のアドバイスは大きな意味を持つ。

 各球団の主力投手のプライド尊重だけでは、勝つための投手起用はできない。前回大会では田中(現ヤンキース)がWBC球でスライダーが曲がらなかった。1次ラウンド初戦のブラジル戦は2回、23球で交代した。本来の選手能力と実際の状態がかけ離れていた時に、どこまで信じて使うのかの決断が問われる。権藤コーチは経験が豊富だし、小久保監督の背中を押してくれるはずだ。

 投手起用の弾力性を生むには選手への意識付けも大切だ。起用法を明確にしていい部分と、変化を持たせる部分のすみ分け。起用のバリエーションをどれだけつくれるかも大事な要素になる。

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2016年11月9日のニュース