鳴門 智弁撃破!9回、鎌田がV打「気持ちで持って行った」

[ 2016年8月14日 05:30 ]

<智弁学園・鳴門>9回表2死満塁、決勝の右前適時打を放った鳴門・鎌田は、敵失の間に三進して塁上でガッツポーズ

第98回全国高校野球選手権大会2回戦 鳴門5―2智弁学園

(8月13日 甲子園)
 2回戦4試合があり、鳴門(徳島)は今春選抜優勝の智弁学園(奈良)に逆転勝ちし、3年ぶりの3回戦進出を決めた。同点の9回2死満塁から2番の鎌田航平内野手(3年)が右前に決勝適時打を放ち、エース左腕の河野竜生投手(3年)が5安打2失点で完投した。史上8校目の春夏連覇を狙った智弁学園は3失策と乱れ追加点を奪えなかったのが響いた。

 正直、手は痛かった。同点の9回2死満塁。鳴門の鎌田が指3本分、短く持ったバットで内角高め直球を振り抜くと、詰まった感触が手に伝わった。それでも打球は右前に落ちた。右翼手の失策も絡み三塁へ滑り込んだ後、ベンチを見ると、みんなが笑っていた。

 「詰まっていたけれど、気持ちで持って行った。いいところに落ちてくれた」

 前4打席は智弁学園のエース村上の前に安打なし。それでも5月の練習試合で適時打を放っていた相性の良さ!?が最後の最後に出た。

 エース左腕の河野らとともに1年夏から甲子園を経験。課題の打撃向上のため、同年秋から1限目授業前に30分間、素振りを始めた。毎年6月にはチーム全体で午前6時30分から1時間、ティーやフリー打撃、ランニングをする鳴門名物の「追い込み」を敢行。地道な練習で「前はバットが下から出て飛ばなかった」ひ弱な打者から“力強い打者”へと変貌を遂げた。ウイニングボールもつかんだが「おまえが良く投げたけ」と2失点完投したエースに手渡した。

 その河野は初回に2点を先制されたが、2回以降は自己最速タイの145キロを計測した直球とツーシーム主体にわずか2安打に抑えた。5月の練習試合で敗れた相手に最高の舞台でリベンジし「(初回も)捉えられたヒットはなかったから切り替えられた。夢のよう」と言葉を弾ませた。

 3回戦の相手は強打を誇る盛岡大付。13年に8強入りした兄が準々決勝で敗れた相手が同じ岩手の花巻東だった。「兄超え」を目標とするエースが、一つの壁を越え、さらなる勝利を重ねていく。(康本 園子)

続きを表示

2016年8月14日のニュース