ソフトB工藤監督「ダイエット」=「野球」共通の必勝法

[ 2016年5月12日 11:00 ]

笑顔で練習を見つめるソフトバンクの工藤監督

 ダイエットの必需品と言えば…。自分の体験だけで言えば一番に思いつくのは「体重計」だ。毎日、グラム単位で体の変化を管理することで食事や運動で調整できる。実際、昨年、一念発起し、10キロほどやせた時期、ほぼ毎日、乗っていた。

 「最近、ユニホームの前の部分が楽に着られるようになってきたんだよ」。少しゆるくなった背番号81のユニホームをうれしそうにさわるソフトバンク・工藤監督の減量方法は私と違い「体重計」を使わないことだ。

 なぜ、使わないのか。「体重計に乗って仮に増えていたらショックだよね。よし、頑張ろうと思えなくなるもんね」。毎試合、全体練習が始まる前にはランニングを欠かさない。53歳の肉体に負担は少なくなく「ああ、腰が痛い。膝が痛い」とのぼやきも耳にする。ただ、毎朝「これだけ続けてきたんだから頑張ろう」と奮起するという。

 動くことも食べることも大好きな指揮官だ。好物の焼き肉を食べた翌日、体重計で増えた数字を見れば、せっかく入れたスイッチが消えるのかもしれない。ほぼ、毎日、着るサイズの同じユニホームでふとした瞬間、以前との違いに気づくくらいがちょうどいい。

 そういえば、昨年の就任以来どれほど連勝したとしても「まずは3連戦を勝ち越すこと」とシーズン中は口癖のように繰り返してきた。貯金の数がどれだけ増えようが、その数字に目をやることはない。確認するのは143試合を終えた時。昨季はそうやって90勝を積み上げた。

 人間は目先の数字にとらわれ、一喜一憂する生き物である。ただそこから一度、目をそらし、長期的な視点でのゴールを定める作業は「優勝」と「ダイエット」に共通する必勝法の気がする。(福浦 健太郎)

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2016年5月12日のニュース