【石井一久氏の目】腕振れているダル 故障の際の痛みが明暗に

[ 2016年3月4日 10:45 ]

ダルビッシュ(右)の練習を見守る石井氏

 レンジャーズのダルビッシュが、通常の高さのマウンドでは2度目のリハビリ投球を行った。前回よりも5球多い20球。スポニチ本紙評論家の石井一久氏が現地アリゾナ州サプライズで、右肘じん帯再建手術からの回復具合を生チェックした。

 ダルビッシュの投球を見て、一番良かったのは、腕が振り切れていたこと。まだ段階を踏んでいる時期。僕はフォロースルーの一点に注目していたが、速く引っかくような腕の振りではなく、捕手ミットの方に腕が伸びていくように、しっかりフォローが取れていた。

 ダルビッシュ本人と話したが、ケガ(じん帯部分断裂)をした時に「痛みはなかった」という。痛みがあると、脳が覚えているので、どうしても腕を振る時に恐怖心が出る。その不安からメカニックを崩していく投手が多い。それがないから、腕を振れるのだろう。

 リハビリ期間に筋肉量をアップし、体が大きくなったことが話題になっているが、僕が見た印象も一回り、エンジンが大きくなった感じがある。「体が大きくなった」というのは、単純に体重が増えたということではない。例えると、1リットルの水を1リットルしか入らないバケツに入れると、それだけで満タンになるが、1・5リットルのバケツだと、まだ0・5リットル入る。同じ155キロでもパワーの余力を残した155キロを投げられるということだ。

 メジャー復帰は5、6月ということで、フォームうんぬんはこれからだろう。恐怖心なく、腕が振れていることが一番大事。最初のステップとしては順調といえる。

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