あえて得意球投げず…ソフトB松坂 真の完全復活へ試したこと

[ 2016年3月4日 06:56 ]

<ソフトバンク・韓国斗山>288日ぶり実戦登板で2回無失点の松坂

練習試合 ソフトバンク1―4韓国・斗山

(3月3日 アイビー)
 「平成の怪物」と呼ばれた男が復活へのスタートを切った。2軍で調整しているソフトバンク・松坂大輔投手(35)が3日、韓国斗山との練習試合(アイビー)で、288日ぶりに実戦登板。最速は141キロながら、あえて仕上がり途上である直球とスライダー中心の組み立てで臨み、2回をパーフェクトに抑えた。昨年8月の右肩手術の影響を考慮し開幕ローテーションからは外れたが、焦らず、じっくりと段階を踏んでいく。

 幾多の修羅場をくぐり抜けてきた怪物も「人の子」だった。昨年5月20日のウエスタン・リーグのオリックス戦(高知)以来、288日ぶりの実戦登板。その第1球は137キロの直球がすっぽ抜け、バックネットを直撃した。

 「緊張から来るすっぽ抜け、ということにしておいてください」と苦笑いの松坂。ここから2回を無安打無失点、打者6人を20球で片づけたが「もっと投げたいという気持ちもある」と感慨に浸ることはなかった。

 結果は度外視していた。首脳陣の指示もあり、自信のあるシュートは1球、カットボールは2球に抑え、仕上がり途上の直球とスライダーを中心に組み立てた。最速は全盛時には程遠い141キロ。西武時代の06年以来10年ぶりにコンビを組んだ細川が「手元で伸びていた」と話したように、球速以上の切れで押し込む場面はあったが、本人は満足していない。スライダーについても「きょうも駄目でしたね」と振り返った。

 登板後はブルペンに直行。踏み出し足の位置を確認しながら「もう少し前で離せるように」と直球のみ57球を投げた。メジャーでの晩年は、ボールを動かす投球スタイルに変身。この日も結果にこだわるなら、投球術でかわすこともできた。事実、2回1死は137キロのカットボールでバットを折り、2死では左打者の内角ボールゾーンからねじ込む「フロントドア」で見逃し三振に斬った。

 だが、それでは真の完全復活は遠い。「ベース上で動かすのは武器だけど、それに頼りたくない。ストレートが中心になるのは変わらないです。自信のあるボールは極力投げなかった」。だからブルペンで一心不乱に直球を投げ込んだ。

 メジャーから復帰した昨季は登板なしに終わった。右肩手術明けを考慮され、2年目の今季も、開幕ローテーションを外れることは決まっている。報告を聞いた工藤監督も「まあ、ここからじゃないか。(右肩を故障した)昨季と同じことを繰り返さないように、ちょっとした変化を見逃さないようにする」と慎重な姿勢を崩さなかった。

 それでも復活への階段を一つ上がったのは確か。「きょう試合に投げたことで新しい課題がある。一つだけなので、それさえできれば、試合を組み立てられる」と話す松坂の表情は明るい。次回も2軍戦で登板予定だが、焦りはない。目の前の課題を一つずつクリアし、納得のできる状態で、1軍に呼ばれる時を待つ。(福浦 健太郎)

 ▼ソフトバンク・倉野信次投手総合巡回コーチ 初回は緊張もあったと思うが、2イニング目はいい状態で投げていた。体重の乗りが良くなれば(最速141キロの)直球のスピードは上がる。そうすればより、勝てる要素は大きくなる。

 ▽松坂の前回登板 右肩の筋疲労で離脱していたが、15年5月20日のウエスタン・リーグのオリックス戦(高知市営)に2番手で登板。6回からの2イニングを2安打1失点で2奪三振だった。実戦マウンドは同年3月17日のロッテとのオープン戦(ヤフオクドーム)以来。直球の最速は142キロだった。しかし、中3日で予定していた5月24日の広島戦(中津)は直前で登板回避。8月18日に右肩の手術を受けた。

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