清原容疑者、使用中だった…“ASKA特命チーム”確定情報得て突入

[ 2016年2月4日 05:30 ]

警視庁に身柄を移される清原容疑者

 元プロ野球選手の清原和博容疑者(48)が覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで警視庁に逮捕されてから一夜明けた3日、取り調べに対し、所持していた覚せい剤を使ったことを認めた。一昨年、歌手ASKA(57)を逮捕した時の“特命チーム”が2年近くにわたって内偵。東京都港区の自宅マンションで覚せい剤を所持しているとの確定情報を得て、捜査員が決定的な瞬間に踏み込んだ。警視庁は注射器3本やストロー、パイプなどを物証として押収した。

 2日午後8時すぎ。清原容疑者の自宅に、捜査員が一斉に踏み込んだ。1人でいた清原容疑者は注射器とストロー1本ずつを左手に持っていた。捜査員に「置きなさい」と促されて「分かりました…」と、テーブルの上に置いたという。

 家宅捜索で袋に入った結晶を発見。午後8時48分ごろ、覚せい剤と確認した。また注射器3本、ストローとパイプ1本ずつを押収した。ビニール袋に入った0・1グラムの覚せい剤はテーブル上に置いてあった。ガラスパイプはベッドルームの床にあり、黒ずんでいた。覚せい剤は結晶の状態から、使いかけとみられるという。他に携帯電話4台を押収した。

 清原容疑者は3日、警視庁の調べに「自宅にあった注射器やパイプは覚せい剤をやるときに使っていた」と、使用について認め、摂取方法については「腕に注射したり、ガラスパイプであぶって吸ったりしていた」と供述している。

 野球関係者によると、清原容疑者は身辺に黒い噂が立ち、08年の引退当時から球界関係者から距離を置かれていた。捜査関係者によると、警視庁は14年から内偵に入り、昨年8月から捜査を本格化。組織犯罪対策5課の中でも、歌手ASKAの捜査に当たった“特命チーム”が動いた。著名人の薬物犯罪など、社会的影響の大きな事案に結成される非常設の組織だ。薬物供給元のメール内容などから、覚せい剤を譲り受けている情報は得ていた。だが、特命チームは現行犯逮捕にこだわり、自宅や立ち寄り先での行動確認を続けた。

 もともと警視庁は幹部の強い意向もあり、昨年9月末までの逮捕を狙っていた。だが清原容疑者の薬物疑惑報道が過熱。本人に情報が漏れ伝わり使用を控えていたとみられ、逮捕できなかった。

 覚せい剤の現物が発見できなくても、以前所持していた証拠があれば立件できる「麻薬特例法」の適用も手段としてはあった。だが、相手は球界を代表する元スター選手。「踏み込んだ際に薬物が出ないのは許されない」(関係者)。捜査員は「依存性の高い覚せい剤の特性から、いつか必ずやる」と確信し、決定的瞬間を追い続けた。2日は清原容疑者が1人で自宅におり、誰かに責任転嫁する余地もない局面で突入する周到ぶりだった。

 この日は弁護人が清原容疑者に2度接見し着替えを差し入れ。関係者によると「反省した様子を見せていた」という。警視庁は覚せい剤を常習していた可能性もあるとみて経緯を調べており、尿鑑定の結果を待って使用容疑でも立件する方針。

 清原容疑者は先月30日、大阪府で行われたパチンコ関連のイベントが逮捕前最後の仕事だった。今月11日にはバラエティー番組の収録が入っており、今月上旬は阪神などのプロ野球キャンプを視察する予定だった。逮捕直前に親しい友人に言っていたのは「いつものサウナにいるから…」。日々着実に忍び寄る捜査の手に、本人はまったく気づいていなかった。

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