中日へトレードの大場 ソフトBの“親心” 大学時代の輝き取り戻す

[ 2015年11月1日 08:30 ]

中日へ金銭トレードが発表された大場

 日本一連覇から一夜明けた30日の午後2時すぎ。ソフトバンクからマスコミ各社にプレスリリースが送られてきた。

 「福岡ソフトバンクホークスは、大場翔太投手の金銭トレードについて、中日ドラゴンズと合意いたしましたのでお知らせいたします」

 A4用紙にわずか2行で書かれたその文面。あらためてプロの厳しさを思い知らされた。

 8年前の2007年。アマチュア野球担当となり、最初に衝撃を受けたのが大場だった。当時の大学球界の目玉は「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹。前年夏の甲子園決勝で、田中将大を擁する駒大苫小牧との延長再試合を制し、一躍時の人なった斎藤は、早実から早大に進んでも1年春から注目を集めていた。

 その斎藤を上回る球を投げていたのが、東洋大4年の大場だった。ダイナミックなフォームから最速150キロを超える直球にタテに鋭く落ちるスライダーが武器。そして何より馬力があった。

 その両者が投げ合ったのは同年11月の明治神宮大会決勝。1年生の斎藤は6回1安打無失点と好投したが、大場は2安打完封とその上をいった。2人の対決は、3試合396球を投げ抜いた大場に軍配が上がった。試合後、斎藤が「高校時代の自分を見ているよう」と漏らしたのが印象的だった。

 大学・社会人ドラフトでは6球団が大場を1巡目指名。私は友人らに「絶対にプロで活躍する」と吹聴して回った覚えがある。ところが…。プロ入り後の詳しいことは分からない。ただ周囲からは、メンタル面の未成熟さを指摘する声が聞こえてきた。

 とかくトレード話は交換要員で折り合いがつかず、ご破算となるケースも多い。だがソフトバンクは今回、金銭トレードを受け入れた。豊富な資金力を誇るだけに、決して大場の年俸1200万円を欲しがったわけではないだろう。3軍制を敷き、実戦の数も多いだけに、そのまま抱え続けるという手もあったはず。それでも交換要員なしで放出したのは、ドラフト1巡目で獲得した大場に対して「環境を変えればまだ…」というソフトバンクの最後の親心のようにも映る。

 まだ30歳。老け込むには早すぎる。幸い、中日には森ヘッドコーチや友利投手コーチらメンタルを強化するにはうってつけの親分肌のコーチがいる。しっかり鍛えてもらって「平成の鉄腕」と呼ばれた大学時代の輝きを取り戻してほしい。(白鳥 健太郎)

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