“ミラクル”メッツ再現へ!不振ライト4打点、3戦目で反撃1勝

[ 2015年11月1日 05:30 ]

<メッツ・ロイヤルズ>初回無死一塁、左中間へ先制2ランを放つライト

ワールドシリーズ第3戦 メッツ9―3ロイヤルズ

(10月30日 ニューヨーク)
 「ミラクル・メッツ」の始まりだ。第3戦が行われ、メッツがロイヤルズを9―3で下し、1勝2敗とした。ワールドシリーズ(WS)での9得点は球団史上2番目。ポストシーズンで不振に苦しんでいた2番のデービッド・ライト内野手(32)が、初回に逆転2ランを放つなど4打点の大活躍を見せた。同じ0勝2敗から世界一をつかんだ1986年の前回WSの再現を狙う主将が、反撃ののろしを上げた。

 メッツの主将がシティ・フィールド史上最多4万4781人の観衆を熱狂させた。敵地で連敗して迎えた本拠地初戦。ライトのバットが気温11度の寒さを吹き飛ばした。

 「本塁打を打ってベースを1周する時は浮いているかのような感じだった。見上げたら人々が熱狂している。生涯忘れられない試合だ」。1点先制された初回に逆転2ラン。ここまでポストシーズン11試合で打率・182と不振だったが、速球に押し込まれないよう打撃フォームを修正し、剛腕ベンチュラの96マイル(約155キロ)を左中間に叩き込んだ。6―3の6回にも1死満塁からダメ押しの中前2点打を放った。負ければ王手をかけられる一戦。試合前に「ミラクル・メッツの歴史を再現したい」と誓い、4打点で勝利に貢献した。

 01年ドラフト1巡目(全体38番目)で入団したメジャー12年目の生え抜き。抜群の統率力やルックスから前ヤンキースのデレク・ジーターと並んで「ニューヨークの貴公子」と呼ばれる。今季は4月中旬から腰部脊椎管狭窄(きょうさく)症で約4カ月間離脱。現在も完治しておらず、打撃不振で先発落ちの危機に直面していた。それでも試合開始の8時間前に球場入りして腰を入念に手当てし、テリー・コリンズ監督の起用に応えた。

 1番グランダーソンも3回に再逆転の2ラン。1、2番コンビの活躍で、今ワールドシリーズ初勝利を挙げたコリンズ監督は「0勝3敗になったら大変だった。本当に大事な試合になった」と胸をなで下ろした。29年ぶり3度目の世界一へ、メッツの逆襲が始まった。(ニューヨーク・奥田 秀樹通信員)

 ▽ミラクル・メッツ 62年の球団創設から7年間で10球団中最下位5度、9位2度。「お荷物球団」とやゆされた弱小球団が東西2地区制(各6球団)に移行した69年に最大10ゲーム差をはね返して地区優勝。ワールドシリーズ(WS)でも当時最強だったオリオールズを4勝1敗で破ってミラクル・メッツと呼ばれ、優勝パレード当日の天気予報で「晴れ、ところにより紙吹雪」の名言が生まれた。86年のレッドソックスとのWSは2連敗スタート。2勝3敗で迎えた第6戦は2点を追う延長10回2死走者なしからサヨナラ勝ち。第7戦も逆転勝ちで2度目の世界一に輝く。

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