火付け役が「あるある本」ブーム語る「枕草子など先人がいてこそ」

[ 2015年9月22日 09:40 ]

「野球部あるある3」

 2011年、1冊の本が発売して出版界に「あるある本」ブームを巻き起こした。タイトルは「野球部あるある」(白夜書房)。書店の本棚を席巻した一時の勢いは去ったものの、今でも着実に出版点数を重ねる「あるある本」の潮流を火付け役はどう見ているのか。「野球部あるある」の著者、菊地選手に話を聞いた。

 イラストとともに野球部の「あるある!」とうなずけるネタを紹介していく「野球部あるある」ネタとイラストと解説がセットになったフォーマットは汎用性が高く、瞬く間に後発作品が続出した。「特定のジャンル+あるある」というタイトルの書籍を国会図書館のデータベースで検索してみると、「野球部あるある」が発売した2011年は1冊。2012年は21冊、2013年は54冊、2014年は68冊。2015年はやや勢いが衰えたものの、9月21日時点で27冊が登録されている。

 菊地選手は「著者としては○○あるあるとして出すつもりはなかったと思うんですよ。あるある本が売れているらしいってことでそういうタイトルをつけられていると思うんですね」と冷静に分析。「麻雀あるある」「スケオタあるある」「博多あるある」など様々な切り口の「あるある本」が存在するが、中でも「ジャニヲタあるある」には感心したという。「ジャニヲタっていう切り口の発掘ですよね。(ジャニーズのタレントではなく)ジャニヲタに絞って出した本という着眼点が素晴らしかったと思います」。

 フォーマットを真似された本が次々と出ているが「あまりパクられているという意識はないですね。『野球部あるある』があるある本の走りだみたいなことを言ってくださるので、そういう評価をしてもらえるところが光栄というか」と謙虚な態度を崩さない。「『枕草子』みたいな文学でもあり、あるあるでもあり古典でもあり、そういう先人がいるうえで成り立っているので」と壮大なスケールで「あるある本」の歴史を語った。

 菊地選手はこのほど「野球部あるある3」(集英社)を発売。高校野球部全般のあるあるネタを中心としていた1巻、2巻とは違い、明徳義塾、広島商など「名門校あるある」がてんこ盛り。漫画家・クロマツテツロウ氏の味のあるイラストも健在だ。

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2015年9月22日のニュース