日本文理 なるか新潟勢初頂点 09年準Vも「あの時よりも力は全然上」

[ 2014年8月23日 05:30 ]

<聖光学院・日本文理>汗を飛ばして力投する日本文理・飯塚

第96回全国高校野球選手権準々決勝 日本文理5―1聖光学院

(8月22日 甲子園)
 準々決勝4試合が行われ、4強が出そろった。日本文理(新潟)は聖光学院(福島)を5―1で下し、準優勝した09年以来5年ぶりの準決勝進出。今秋ドラフト候補の飯塚悟史投手(3年)が4試合連続完投勝利をマークした。大阪桐蔭は主将・中村誠外野手(3年)の決勝2ランで高崎健康福祉大高崎(群馬)を破り、優勝した12年以来の4強入り。23日は昨年に続き休養日となり、24日に準決勝、25日に決勝が行われる。

 直江津中1年時からコンビを組む、日本文理の飯塚―鎌倉のバッテリーは、思惑が一致した。

 「聖光学院から三振は取れない。早いカウントから打たせて取ろう」

 初回に2安打で1点を失った。2回は無失点で切り抜けたが、同じく2安打された。打者9人に対し、奪った空振りは3度だけ。6年目のコンビは、配球を替えた。

 2―1の5回、先頭の柳沼に対し、初球からフォークを投じ、三ゴロに。飯塚は「内野ゴロを打たせたかったので、フォークが増えた」と言えば、鎌倉も「春までは痛打されていたが、夏に精度が上がった。フォークのおかげ」と話した。

 左打者がスタメンに5人並ぶ打線に対し、ひそかに練習してきた軌道が生きた。「左打者にはシンカー気味に落とすようにしてきた。リリースの瞬間に、人さし指に力を入れる」。10安打を許しても、2回以降は得点は与えない。奪った三振はわずかに一つだったが「投球の幅が広がったところが成長」と実感できた。

 連投も苦にならなかった。最後の142球目は、141キロを計測。夏に備えて、ブルペンで2日連続200球を投げ込んだ成果だった。4試合連続完投は今大会ただ一人。548球を投げても「疲れはまだ大丈夫。最後まで1人で投げるつもり」と涼しい顔だ。

 09年夏の決勝。中京大中京(愛知)に9―10で敗れて準優勝に終わったが、9回に5点を奪う驚異の粘りに魅せられた。あれから5年。ホテルの自室で、飯塚は「何回見ても鳥肌が立つ」とユーチューブで当時の映像を繰り返し見ている。5年前のエース伊藤直輝(現ヤマハ)も粘り強い投球で2回戦から全5試合完投。その先輩の姿は、どこか飯塚とだぶる。

 大井道夫監督は言った。「あの時(09年)よりも力は全然上だよ」。4試合で46安打を放った勝負強い打者がいる。状況を見ながら試合を組み立てる、息の合ったバッテリーがいる。新潟勢初の頂点が、くっきりと見えてきた。

 ◆飯塚 悟史(いいづか・さとし)1996年(平8)10月11日、新潟県生まれの17歳。兄の影響で6歳から野球を始め、小3から投手。直江津中では1年秋にエースとして県制覇。日本文理では1年夏からベンチ入り。2年夏から背番号1。今夏まで3季連続甲子園出場。1メートル85、76キロ。右投げ左打ち。

 ≪春夏通算30勝目到達は最後≫日本文理が今大会4勝を挙げ、新潟勢は春夏通算30勝目(春3勝、夏27勝)。47都道府県で最後の到達となった。次に勝利数が少ないのは山形と富山で32勝。

 ≪優勝経験校は大阪桐蔭のみ≫4強が出そろい、地区は北信越2校、東海1校、近畿1校。北信越勢2校の4強入りは95年に星稜が準優勝、敦賀気比が4強になって以来19年ぶり2度目。東北勢2校はともに準々決勝で敗退し、初優勝はまたもお預けとなった。三重は69年春に優勝しているが夏は初の4強入りで、残り3校は過去に4強経験あり。優勝経験校は大阪桐蔭のみで3度ある。

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