おかわり恩返し弾 “師匠”デーブも驚く「あの球を」内角打ち

[ 2014年7月23日 05:30 ]

<西・楽>ビクトリーロードで帽子をとってファンに手を振る中村

パ・リーグ 西武2-0楽天

(7月22日 西武D)
 4番がひと振りで決める。一塁側ベンチの敵将がほれ込んでいた打撃。それを目の前でやってのけた。0―0の7回無死一塁。西武の中村が、高々と左中間席に15号の決勝2ランを放った。

 「特に何も考えずに来た球をしっかり打った。ちょっと詰まったけど、良い打撃ができたので入ると思った」

 この日対峙(たいじ)した楽天・大久保監督代行は08年に、西武の打撃コーチを担当していた。入団7年目だった中村に対する首脳陣の評価は「一発はあるけど、打率は2割そこそこ。三振も多い。使いにくい選手」。それでも就任したばかりの渡辺監督(現シニアディレクター)に、起用を推薦し続けたのが、長打力にほれ込んだ大久保監督代行だった。中村はその年143試合に出場し、リーグトップの46本塁打。162三振もしたが、それも大砲の勲章と容認し、初のキングへと変貌させた。

 前日は5回に空振り三振を喫して、日本人最速の1014試合で通算1000三振に到達。そこから、この日の初回まで4打席連続で空振り三振を喫し、7回の打席では「バントしろ!」と罵声を浴びた。ここ1カ月は右肘の違和感を抱えながらの出場。内角を攻められ、打ち損じも目立つ。それでも青山が内角に投じた137キロシュートを完璧に捉えた。三振は多くても、ここ一番で勝負強い。大久保監督代行の理想を体現した。

 「あの球を左中間に運ぶなんて…。内角も完璧に打てるようになった。成長したんだな」と敵将をうならせた打撃が決勝点となり、連敗を2でストップ。Aクラス浮上へ中村は一言叫んだ。「えー!頑張ります!!」。その声が何より頼もしかった。

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