ドロー寸前12回2死!福留劇弾 不振にあえぐ37歳が意地の一発

[ 2014年7月23日 05:30 ]

<神・巨>12回2死、サヨナラ弾の福留はガッツポーズ

セ・リーグ 阪神3-2巨人

(7月22日 甲子園)
 ベテランのひと振りで決めた!阪神は22日、巨人と対戦し、引き分け目前の延長12回2死から、福留孝介外野手(37)が右翼ポール直撃の劇的な3号ソロを放って、3―2でサヨナラ勝ちした。チームのサヨナラ勝ちは6月17日の日本ハム戦(甲子園)以来、今季4度目。4連勝で貯金を今季最多タイの9とし、首位・巨人に1・5ゲーム差に詰め寄った。

 最後の最後に決めたのは、不振にあえいでいた福留だった。本塁付近にできた歓喜の輪。満面の笑みで飛び込むと、大量のウオーターシャワーが待っていた。

 「思い切っていってやろうと思った。感触は良かったので切れるな、と。何とも言えない最高の気分」。4万4638人の観衆の地鳴りのような大歓声に負けることなく、声を弾ませた。

 「あと1人」で試合終了から2度も本塁打が飛び出した劇的な展開だった。1点リードで勝利目前の9回2死、「あと1人」、いや「あと1球」から代打の高橋由に同点ソロを浴びた。2度目のドラマは、引き分け目前の延長12回2死走者なし。追い込まれた状況でも、福留は「僕が右翼を守っている時にスタンドから、絶対に勝つという雰囲気をもらった」と言う。マシソン相手に「直球一本」と覚悟を決めた。初球の155キロ直球は高めに外れ、「2死だったし、初球、ボールになった瞬間、気持ちが楽になった」。2球目の152キロ直球を鋭いスイングで完璧に捉えると打球は右翼ポールを直撃した。自身3度目のサヨナラ弾に加え、伝統の一戦の延長でのサヨナラ弾は阪神では88年の田尾以来。ここまで打率・209、2本塁打、13打点と苦しんでいたベテランの大仕事に、和田監督も「ここっていう時にいい仕事をしてくれる」と勝負強さを称えた。

 今季は打率が1割台に低迷することもあり、6月10日以降は不振で2軍落ちの屈辱を味わった。若手に交じって炎天下の鳴尾浜で汗を流す日々。そんな中でも平田2軍監督には「全部出ます」と伝え、フル出場を志願した。自らのすべきことに集中し、若手にも積極的に声を掛けた。この日も7回1死一塁でフェンスから跳ね返ったアンダーソンの難しい打球をうまく処理し、二塁進塁を封じた。スペシャリストである守備はもちろん、どんな状況に置かれようとも、全力でひたむきに汗を流す姿勢そのものが、若虎の手本でもあった。

 チームは球宴を挟んで連勝を4に伸ばし、首位・巨人とは1・5ゲーム差に接近した。福留は「またいい気持ちで、あしたを迎えられる。(このカードを)3つ取って、どんどんと乗っていきたい」。首位を追走するチームを勢いづけるには最高の一発。ついに首位の背中を視界に捉えた。

 ≪8年ぶり16本目≫福留(神)が延長12回にサヨナラ本塁打。阪神の巨人戦サヨナラ弾は06年5月2日に関本が放って以来8年ぶり13本目。延長戦では51年藤村富、88年田尾(ともに10回)に次ぎ3人目で、12回は最も遅いイニングに。また福留のサヨナラ本塁打は中日時代の03年4月2日ヤクルト戦、阪神での13年4月19日ヤクルト戦に次ぎ3度目。いずれも引き分け目前の同点の延長12回に飛び出している。

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