イチロー 雑音封じ二塁打「結果を出すことだけを考えていた」

[ 2013年5月22日 06:00 ]

<オリオールズ・ヤンキース>延長10回無死二塁、ウェルズの適時二塁打で二塁から生還するヤンキースのイチロー

ア・リーグ ヤンキース6―4オリオールズ

(5月20日 ボルティモア)
 ヤンキースのイチロー外野手(39)が20日(日本時間21日)、オリオールズ戦に「7番・右翼」で先発し、延長10回に決勝点を呼び込む右翼線二塁打を放った。低迷するイチローの先発起用に地元メディアが懐疑的な目を向ける中、3打席目までは凡退。しかし、9回に同点に追い付いたことで回ってきた打席で結果を出した。チームは外野のレギュラーを固定せず4選手で回す方針。今後も厳しい立場での戦いが続く。

 雑念はない。4―4の延長10回先頭。イチローは「勝たなきゃいけない。塁に出ることだけを考えていた」と集中力を研ぎ澄まして打席に入った。低めのスライダーを見極めて1ボールとすると、2球目の94マイル(約151キロ)直球を振り切り、痛烈なライナーで右翼線二塁打。続くウェルズの左越え二塁打で決勝のホームを踏んだ。

 それまでの3打席は凡退。2回の左飛は直球に差し込まれ、5回の遊飛はチェンジアップに腰砕けになった。7回は3球三振と内容の悪さばかりが目立っていた。9回にハフナーの起死回生の8号同点弾で追い付いたことで巡ってきたチャンス。「シンプルにあの打席で結果を出すことだけを考えていた。何か重荷を課して何かを乗り越えていこうというのは、少なくともきょうの打席ではありません」。目の前のことにだけ集中し、そして結果を出した。

 右腕骨折で長期離脱していた昨季43発のグランダーソンが復帰し、現在外野は4人。ジョー・ジラルディ監督は「ローテーションで使っていく」と方針を示しているが、打率・241のイチローに対する地元メディアの風当たりは日増しに強まっている。この日はウェルズが休養のために先発を外れたが、相手先発ガルシアとの対戦打率が・438だったこともあり、試合前の監督会見では「なぜウェルズなのか」と、暗にイチローの起用に疑問を投げかけるような質問も飛んだ。

 試合後のクラブハウス。厳しい立場を気遣うように、主砲カノはイチローに「昔ならば三塁打だったな」と軽口を叩き、さらには「イチ番!」と叫んで笑わせた。ヤンキースで試合に出場し続けるためには、結果を出すしかない。それは、イチローが一番よく分かっている。

 ▼ヤ軍・ジラルディ監督 最後はイチから始まった。素晴らしい攻撃だった。

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