ごっちゃんスタジアム!?赤ヘル 逆転2ラン振り逃げ

[ 2012年7月4日 06:00 ]

<神・広>9回2死二、三塁、阪神・榎田は広島・梵のふり逃げと暴投の間に二塁走者・菊池の生還を許す

セ・リーグ 広島4-3阪神

(7月3日 松山)
 「ゴー!ゴー!」。一度は足を止めかけた広島・菊池の耳に、三塁の緒方ベースコーチの大声が聞こえてきた。ルーキーは50メートル5秒9の俊足で、二塁から一気にホームへ。頭から滑り込んで決勝点だ。

 「一目散に走りました」。負けた…と思ったら、まさかの勝利が転がり込んできた。土壇場での珍事は1点を追う9回2死二、三塁、2ボール2ストライクからの6球目。打者の梵が榎田のスライダーに空振り三振した。本来なら試合終了…のはずが、捕手の小宮山が投球をはじき、ボールは一塁ベンチ方向へ転々。振り逃げとなり、三塁走者・天谷に続いて二塁走者の菊池も生還した。

 この回、簡単に2死とされるも、代打・迎、天谷が連打。ここでルーキーの左前打で1点差に詰め寄った。「監督からは、三振でもいい、ぶちかましてこいと言われた。“ぶちかました”というよりは“打てた”という感じ」と菊池。プロ4打席目で初適時打、初打点。さらに2死一、二塁で野村監督は重盗を敢行。これが逆転の2点振り逃げにつながった。

 「まさか菊池がね。思い切りのいい走塁をしてくれた。素晴らしい躍動」と野村監督も興奮気味だ。実は3年前の同じ7月3日にも、横浜戦(横浜)で「2点振り逃げ」を実現させている。不思議な縁で1勝6敗1分けと大きく負け越していた阪神に勝ち、その4位の虎に0・5差に迫った。

 「あすもこの勢いで勝って、借金を返して優勝を目指します!」。菊池はお立ち台で叫んだ。ここは坊っちゃんスタジアム。その名の通り、愛媛・松山市を舞台にした夏目漱石の小説「坊っちゃん」が由来だ。登場人物では「赤シャツ」が有名だが、この夜は赤ヘルの若鯉が主役になった。坊っちゃん、ならぬごっちゃんスタジアム。そんな勝ちっぷりだった。

 ▼広島・梵(9回2死二、三塁から殊勲の振り逃げ)点が入ったからいいんじゃないですか?勝てばいいんです。

 ▼広島・中田(8回の1イニングを無失点に抑え2年ぶりの白星)まさかですね。ああいう場面で使ってもらってゼロに抑えられてよかった。

 ◇振り逃げ 打者が三振を喫した投球を、捕手が後逸した場合、一塁走者なしか、いても二死なら、走者として一塁に向かうことができる。一塁に生きれば振り逃げ出塁となるが、記録上は三振。また、後逸の要因を公式記録員が判定し、投手に暴投あるいは捕手に捕逸が記録される。

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