“強心臓”21歳 岩崎7回零封「楽しく投げられた」

[ 2011年10月2日 06:00 ]

<西・ソ>先発の岩崎は三塁を踏ませることなく、7回3安打無失点の好投

パ・リーグ ソフトバンク3-0西武

(10月1日 西武D)
 とても、21歳とは思えない。リーグ優勝のかかったマウンド。3回2死一、二塁のピンチで、ソフトバンク・岩崎は10歳年上の捕手・細川が出したスライダーのサインに首を振った。そして打席の中島に対し、2ボール2ストライクからの6球目に選択したのはフォークボール。空振り三振に仕留めた。

 「これだけ緊張感のある試合で、これだけの投球ができたのは大きな自信になる。きょうは楽しく投げられた」

 7回を三塁を踏ませることもなく、3安打無失点。入団4年目。今年5月13日の西武戦(ヤフードーム)でプロ初勝利を挙げ号泣した男が、大一番でも快投した。

 昨季は5試合の先発機会を与えられたものの、ハートの弱さからピンチになると腕が振れなくなった。この姿を見かねたのが秋山監督だった。それまでも、斉藤和巳リハビリ担当コーチの全盛期の投球を収めたDVDを贈るなど目を掛けてきた。可愛い子には旅をさせろ――。オフに右腕をプエルトリコのウインターリーグへ武者修行に出した。言葉も通じない、食事も合わない異国で、ツーシームを覚えたことで才能は一気に開花。大リーグへの登竜門ともいわれる同リーグで9試合の先発で8勝を挙げた。岩崎自身も「あの経験が大きかった。一番の収穫はマウンドでおどおどしなくなった」と振り返る。

 07年高校生ドラフトでは中田翔(現日本ハム)の「外れ1巡目」として指名された。岩崎の名前も同じ翔。「唐川や由規、中田に先に行かれた焦りはあったけど、少しずつ追いついて、いつかは追い越してやろうという気持ち」。その未来は燦々(さんさん)と輝いている。

 ◆岩崎 翔(いわさき・しょう)1989年(平元)10月21日、千葉県生まれの21歳。市立船橋3年夏の甲子園では1回戦で敗退したが、最速150キロをマークした。07年高校生ドラフト1巡目。年俸840万円。昨季までは先発7試合で未勝利だった。1メートル88、75キロ。右投げ右打ち。

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