レイズ“奇策”先勝!先発経験1度の新人左腕が大仕事

[ 2011年10月2日 06:00 ]

7回2安打無失点と好投し、チームを快勝に導いたレイズの新人左腕ムーア

ア・リーグ地区シリーズ第1戦 レイズ9―0レンジャーズ

(9月30日 アーリントン)
 公式戦での先発経験がわずか1試合の左腕が、大仕事をやってのけた。レイズの新人マット・ムーア投手(22)が地区シリーズ開幕戦で、レンジャーズ相手に7回2安打無失点。公式戦の先発1試合でのポストシーズン開幕投手は史上初だったが、快投でチームを白星スタートに導いた。大敗したレンジャーズ・上原浩治投手(36)の登板機会はなし。また、ヤンキース―タイガース戦は2回途中で降雨サスペンデッドとなった。

 頬にはにきびがある。ムーアは「あごひげが濃くならないようにだけ気をつけているよ」と、あどけなさが残る顔をほころばせた。公式戦での先発は1試合だけ。史上最少キャリアでポストシーズン開幕投手を務め、圧巻の内容を披露した。

 「あまり考えたり神経質になる時間はなかった。打者の名前は知っていたけど対戦がない。捕手を信じて投げるだけだった」。先発は前日の午後6時半に伝えられた。新人とは思えない冷静な投球。初回は最速98マイル(約158キロ)の速球を軸に力で押した。2回に先制点が入ると一転、球速を150キロ前後に落とし、チェンジアップ、スライダーを織り交ぜた。「大量点もあった。少しでもテンポ良く投げるのが先発の役目」。今季リーグ最高のチーム打率・283を誇るレンジャーズ打線を寄せ付けなかった。

 1A在籍中だった昨季はポストシーズンはテレビで観戦していた。今季は2A、3Aを経て9月にメジャー初昇格。登板3試合目で初先発となった同22日のヤンキース戦では、5回4安打無失点で初勝利を手にするなど一気に階段を駆け上がった。今季11勝のデービスでなく、新人の大胆起用に踏み切ったジョー・マドン監督は「スカウト、スタッフを交えた決断。これ以上望みようがない投球」と称えた。

 「あんな投球を見せられたら援護しないとね」と、2本塁打5打点の捕手ショパック。公式戦最終戦で7点差をひっくり返し、大逆転勝利でプレーオフ切符をつかんだ。その勢いは、新人の快投でさらに加速した。 

 ◆マット・ムーア 1989年6月18日、フロリダ州生まれの22歳。07年ドラフト8巡目でレイズに入団。今季は傘下の2A、3Aで計12勝3敗、防御率1.92。155回を投げ210三振を奪った。9月14日のオリオールズ戦でメジャーデビューし、3試合に投げ1勝0敗、防御率2.89。1メートル88、93キロ、左投げ左打ち。

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2011年10月2日のニュース