秋山監督手記 みとれなかった母に吉報 理想の西武黄金時代に近づいている

[ 2011年10月2日 11:20 ]

<ソフトバンク祝勝会>秋山監督(奥)が孫オーナーにビールかける
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ソフトバンク パ・リーグ連覇

 連覇…。喜びと達成感は一言では表せない。支えてくれたコーチ、裏方さん、選手、その家族みんなに感謝したい。レベルの高いパ・リーグで成し遂げたのは胸を張れること。今年は3月に東日本大震災があり、勇気を、元気を伝えたかった。野球で何かを伝えたい思いが強かった。自分に求められたのは優勝。目標に向かってきょうまで突き進んできた。

 今年も勝ち続けるため内川、細川、カブレラを呼んだ。昨年までのメンバーを刺激し、チームの活性化、底上げの力になってくれた。小久保や松中もレギュラーの保証はなかったけど、そこは理解してもらった。二人とも10何年も厳しい戦いを勝ち抜いて自分のポジションを勝ち取ってきた。この世界は今が大事。実力なしで生きていけないのは、本人たちが一番分かっていたはず。

 昨年はずっと胃が痛い思いだったけど、今年に関しては苦しい時期は少なかった。昨年を踏まえて内川ら3人を呼んだのだから。戦う集団には厳しさが必要。刺激を受けた若手が力を付け、故障者が多いのも全員でカバーできた。一騎打ちだった日本ハムの存在は確かに怖かったけど、勝負は9月以降だと自分に言い聞かせた。その9月を一気に走り抜けた(15勝9敗2分け)のが大きかった。今年は負けた後の全体ミーティングを一度もやらなかった。全員が高い意識を持って取り組んでくれたから。向上心を持った選手がたくさんいるチームは強い。理想にある黄金時代の西武に一歩ずつでも近づいてきてるのかなと思う。

 8月にはおふくろの死があった。最期はみとれなかったけど、俺はプロとはそういうものだと思って生きてきた。自分の中で消化し、翌日も試合だけに集中した。大学進学で迷った時、プロの世界へ背中を押してくれたり、思い出や感謝は尽きないけど、グラウンドには持ち込みたくなかった。おふくろの死で、選手にも大事な家族がいることを考えさせられた。おふくろを喜ばせたいと思ったように、選手とその家族にいい思いをさせてやりたい。監督として少しは役目を果たせたかなと思う。おふくろにもいい報告ができる。

 だが、戦いはまだ終わりではない。クライマックスシリーズのことを考えると、正直言って頭が痛い。昨年より自信はあるけど、相手あっての勝負事はやってみないと分からない。ただ言えることは、昨年負けたあの悔しさを生かさないといけない。だからまだ今は、通過点。俺たちにはやるべき仕事が残っている。(福岡ソフトバンクホークス監督)

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2011年10月2日のニュース