3冠マー君17勝!「ダルさんを意識していますよ」

[ 2011年10月2日 06:00 ]

<オ・楽>8回2死満塁、赤田を空振り三振に仕留め、吠える田中

パ・リーグ 楽天4-2オリックス

(10月1日 京セラD)
 120球を超えても余力は残っていた。2点差に迫られて、なお1死満塁。楽天・田中はマウンドで下を向いて集中力を高めると、グラブで左頬を軽く叩いて気合を入れた。選択したのは力勝負だ。

 「自分でピンチをつくってしまった。2人を三振に取るしかないと思った」。李スンヨプへの3球目。125球目の直球は151キロをマークした。空振りを奪って追い込むと、最後は140キロのスプリットで空振り三振。雄叫びを上げて、続く赤田との勝負に挑んだ。「力を振り絞って、思い切り腕を振り抜きました」。4球連続の直球勝負はすべて150キロ以上で空振り三振。この試合最速の152キロを3度計測し、力でねじ伏せてグラブを叩いて大きく吠えた。星野監督も「自分で招いたピンチだったけど、よく踏ん張った」と称えた。

 8回9安打2失点でダルビッシュと並ぶ17勝目に勝率・773。防御率もトップをキープして、再び投手3冠に躍り出た。「ダルさんを意識していますよ。僕に追いつかれることが嫌と感じているなら、離されないように頑張るだけです」と新人王以外では初となるタイトル獲りに意欲を見せた。兄貴分であり、日本球界最高投手との争いで一歩も引かない覚悟だ。

 今季登板25試合目。目標とする沢村賞の選考基準7項目を全て満たした。基準をクリアしているのは12球団で田中だけ。春季キャンプの朝の散歩で、チームメートを前に宣言した沢村賞は手の届くところにある。チームは残り12試合。田中は最大で3試合の先発が可能だ。ダルビッシュと一騎打ちとなったタイトル争い。食らいつき、そして最後は抜き去ってみせる。 

 ≪パ3部門でトップ≫田中が8回2失点で今季17勝目をマーク。勝利数、勝率(・773)でダルビッシュ(日)に並び、防御率(1・38)も合わせてパ3部門でトップに立った。この日は10奪三振。2桁奪三振は今季9度目で通算26度目。現役では和田(ソ)の25度を抜く単独5位に浮上した。なお、シーズン10度に乗せると史上13人目、球団では初の記録になるがどうか。

 ▽沢村賞 故沢村栄治氏(巨人)の栄誉と功績を称えて1947年に制定。シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる。2リーグ分立の50年からセ所属投手だけが選考対象となり89年から両リーグに広げられた。選考基準は「登板数25試合、完投10試合、15勝、勝率・600、200投球回、150奪三振、防御率2・50」の7項目。受賞者には金杯と副賞300万円が贈られる。

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