男だね!代打で一撃…前田智16年ぶりサヨナラ打

[ 2010年4月17日 06:00 ]

<広・中>9回1死満塁、代打・前田智は中前にサヨナラ打を放ちナインから手荒い祝福をうける

 【広島4-3中日】プロ21年目の大ベテランが最後に決めた。広島は16日、同点の9回1死満塁で前田智徳外野手(38)が代打で登場。中日・浅尾から中前打を放ち、今季2度目のサヨナラ勝ちを飾った。前田智のサヨナラ打は94年6月9日の阪神戦以来16年ぶり4度目。代打の切り札の一撃で、チームは単独最下位を脱出した。

【試合結果


 季節外れの寒さの中でも、お立ち台のヒーローを迎えるマツダスタジアムのファンは熱かった。大声援を全身に浴びた前田智は、ちょっぴり照れくさそうに口を開いた。
 「初球は、ああいう速い投手をオープン戦から見ていなかったので、適当に破れかぶれで振りました」
 9回1死満塁で代打で打席へ。浅尾の初球、151キロの内角低めのボール球を強引に振りにいった。自身の足に当たるファウルで1ストライク。2球目は142キロの外角フォークに完全に体勢を崩され空振り。簡単に追い込まれたが、3球目の139キロのフォークに食らいつく。ナインの思いを乗せた打球は中前へ。ナインから水をかけられる手荒い祝福を受けた。
 「(2球目の)フォークもオープン戦で見てなかったので変な空振りになって。開き直りました。バットが当たるところに(フォークが)落ちてくれた」
 これがプロ通算2073本目の安打となったが、サヨナラ打は実に16年ぶり4本目。過去3本はいずれも本塁打だった。「ケガばかりしていたけど、この場に帰って来られてうれしい」。天才打者の評価をほしいままにした全盛期の派手さはない。昨年は腰痛など下半身の故障で初めて出場試合なしに終わった。ベテランの泥臭い一打には、これまで以上に勝利への執念がのぞいていた。
 チームは今季2度目のサヨナラ勝ちで単独最下位を脱出。首位巨人まで6球団が4ゲーム差内にひしめく混セを演出した。「最後は相当な重圧の中、何とかしてくれた。本人もホッとしているのが正直なところじゃないか」と野村監督も興奮を隠せない。
 「自分が与えてもらった場所があるので、結果はどうであれ、しっかり準備して戦っていきたい。チームはまだ借金がありますが、少しずつ返していきたい」と前田智。38歳の仕事人が赤ヘル軍団の切り札になる。

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2010年4月17日のニュース