いの1番166キロ腕 50億円要求

[ 2009年6月11日 06:00 ]

ナショナルズが全体の1位で指名したスティーブン・ストラスバーグ投手

 大リーグの新人選択会議(ドラフト会議)が9日(日本時間10日)、米ニュージャージー州セコーカスで開幕し、ナショナルズが全体の1位でスティーブン・ストラスバーグ投手(20)=サンディエゴ州立=を指名した。代理人はレッドソックス・松坂と同じスコット・ボラス氏が務め、ドラフト史上最高額の総額5000万ドル(約49億円)を要求。実力、金額ともに“松坂級”を強調し、交渉が不調なら1年間の野球浪人も辞さない構えだ。

ドラフト1位の166キロ腕 交渉決裂なら日本へ?

 45年の歴史を持つ米ドラフト史上で「最高の選手」と米メディアが報じる逸材は、低迷するナ軍の救世主となれるのか。大方の予想通り、昨季勝率30球団最下位のナ軍が、いの一番でストラスバーグを指名した。最速103マイル(約166キロ)を誇り昨年の北京五輪に学生でただ1人代表入り。リッツォGM代行は「合意できる。資金の不安はない」と胸を張ったが、交渉は難航が必至だ。

 何しろ代理人はあのボラス氏。06年オフにはレッドソックス相手に松坂の6年総額5200万ドル(約50億9600万円)の大型契約を勝ち取ったらつ腕だ。この金額は外国人選手を含む新人の史上最高額だが、今回はプロ経験のないストラスバーグにも“松坂級”の即戦力であることを強調し総額5000万ドルを要求するとみられている。過去最高は01年にカブスと契約を結んだマーク・プライアーの1050万ドルで、その5倍近い法外な金額だ。

 近年、米国ではアマチュア選手にも代理人が介在するようになり、指名球団と契約しないケースも増えてきた。ボラス氏は97年にもフィリーズが指名したドルー(現レッドソックス)を独立リーグで野球浪人させ、翌年カージナルスに入団させた“実績”を持つ。今回も複数メディアに条件面で折り合わない場合は独立リーグ、もしくは日本球界でプレーさせる可能性まで示唆したという。

 「本人とも電話で話したが、全体1位で指名され意気が上がっていたよ」とリッツォGM代行は楽観的だが、ボラス氏は「不況下でも野球ビジネスは強固だ」と強硬姿勢を貫く。交渉期限は8月15日。現実問題として日本行きの可能性は限りなく低いが、“米国史上最高右腕”の動向には全米中が注目している。

 ◆スティーブン・ストラスバーグ 1988年7月20日、カリフォルニア州生まれの20歳。最速103マイルの直球と落差あるカーブ、高速スライダー、チェンジアップが武器。昨年の北京五輪では1勝1敗、防御率1・67の好成績で銅メダルに貢献した。昨年4月にはユタ大戦で1試合23奪三振も記録。今季成績は13勝1敗、防御率1・32、109回で195奪三振。1メートル93、100キロ。右投げ右打ち。

 ≪全体2位は“イチローの後継者”≫全体2番目の指名権を持っていたマリナーズは学生球界No・1の強打者といわれる北カロライナ大のダスティン・アックリー外野手(21)を選択した。ストラスバーグと同じボラス氏を代理人に持ち、大学のリーグ戦では3年連続打率4割以上をマーク。ズレンシックGMは「メジャーを代表する打者になる素材」と高く評価し、将来的には中堅で育成する方針。スピードも兼ね備える右投げ左打ちの巧打者は“イチローの後継者”として期待される。

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2009年6月11日のニュース