ノムさん 福盛獲り拒絶「嫌いや」

[ 2009年6月11日 06:00 ]

<楽・中>試合開始直前のベンチであくびする楽天・野村克也監督

 楽天・野村克也監督(73)が10日、日本球界復帰を目指す元楽天の守護神でレンジャーズ解雇が決まった福盛和男投手(32)の獲得を痛烈に“拒絶”した。同投手が07年オフに自らの慰留を振り切り、FA(フリーエージェント)権を行使してメジャー移籍したことに対する不快感が払しょくされていないもので、球団側が獲得に前向きな姿勢を示す中で、同監督は“出戻り”は断固として許さない強い姿勢をのぞかせた。

 試合前練習中。三塁側ベンチに現れた野村監督は明らかに仏頂面だった。球場入り後、米田球団代表と会談。話し合いを終えての第一声はどこまでもぶっきらぼうだった。
 「(球団が)テストさせるとかさせないとか言っていたけど、“いらない”って言ったんや。ああいう人の道を外したヤツは嫌いや。まあ、オレも人の道を外しとるけどな」
 チーム事情からすればのどから手が出るほど欲しいストッパーも、元守護神の復帰となればどうしても納得がいかなかった。福盛は07年オフにFA宣言しメジャー移籍。しかし同年は7月に右ひじを痛め、8月に遊離軟骨の除去手術。戦列復帰することはなく、楽天を去った。同年のシーズン終了翌日に早速、球団側が残留交渉。その後も球団側は2年の複数年契約を提示するなど引き留めを図った。野村監督も球団を通じて強く慰留。しかし、福盛は「球団に負担してもらった手術費を自分で払う」などの発言とともにメジャー移籍を決断した。最後には「福盛がメジャーで通用するようじゃメジャーも終わり。泣いて帰って来るな」(野村監督)、「石井一さんや高津さんの時も同じようなことを言っていた」(福盛)とマスコミを介しての舌戦にまで発展した経緯があった。
 それだけに、同監督は「残ってくれってあれだけ引き留めたのに出て行った。それを今ごろ…。(米田球団)代表にも“選手には優しいんだね。監督には厳しいのに”って言ってやったよ」。福盛が同年9月の投球再開後にMLB公式球を取り寄せていたなど“不義理”もあり、移籍の経緯の中で両者の感情がすれ違ってきたのは事実だ。このため「救世主?火付け役やろ。こっちにいた時も、モタモタしながらやっとこさ抑えていた。福盛より、打てる外国人を連れて来いよ」と毒づいた。
 その一方で、米田球団代表は「彼が日本で野球をやれる環境を整えてやりたい思いはある」と獲得に前向きな発言。契約最終年の野村監督が“不要論”を唱えても、球団にとっては来季以降も見据えた補強。近日中にもレ軍から福盛の解雇が正式発表され、ウエーバーで米他球団が獲得の意思を示さなければ、楽天をはじめ日本球団との交渉が解禁となる。現場、球団両サイドは最終的にどんな結論を出すのか。その過程が今後チームにおける新たな火種となる可能性は否定できない。

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2009年6月11日のニュース