“誕生日男”松井秀 逆転満弾で自ら祝砲

[ 2008年6月14日 06:00 ]

6回無死、右中間に逆転7号満塁弾を放った松井秀

 【ヤンキース4―1アスレチックス】ヤンキースの松井秀喜外野手(34)が12日(日本時間13日)のアスレチックス戦で逆転7号満塁弾。誕生日に自らどでかい祝砲を打ち上げた。メジャー初のバースデーアーチは、4年ぶり5本目のグランドスラム。13日からのアストロズとの交流戦ではDH制がないためスタメン落ちの危機を迎えていたが、最高のアピール弾となった。松井の一振りで勝ったチームは1カ月ぶりに単独3位に浮上した。

 こんなバースデーがあったっていい。待ち受けるナインから何度も頭を叩かれ、松井に最高の笑顔がはじけた。1点を追う6回無死満塁。ブラントンの高めから真ん中に落ちてくる134キロチェンジアップを打ち砕いた。ライナー性の当たりは一直線に右翼フェンスを越えた。逆転の7号満塁弾。「今まで誕生日にこんないい試合だったことは記憶にない。日本でも打った記憶がほとんどないし、うれしいですよ」と自ら打ち上げた祝砲の感触に酔った。
 04年7月25日以来、4年ぶりとなる満塁弾が、メジャーでは初の誕生日アーチ。巨人時代は96、98年に放っているが、勝利に結びついたのは初めてだ。本塁打自体も5月18日以来、21試合92打席ぶり。「もっとポンポン打てた方がいいけど。きょう初めて訪れたビッグチャンスでしっかり点取れて、勝ったわけですから」。満塁では今季ここまで6打数無安打で、昨年が打率・118、06年も・125と苦しんでいただけに「満塁に弱い」というレッテルを返上する一発にもなった。
 ここまでチームトップ、リーグ4位の打率・322と好調を持続しているが、実はスタメン落ちの危機に直面していた。13日からは松井稼のアストロズと3連戦だが、交流戦再開に伴い敵地ではDHが使えない。左翼を争うデーモンが、ここ20試合でメジャートップの打率・448と絶好調。ジラルディ監督は2人の起用法について「当日に決める。外野手全体で休ませながら使いたい」と明言を避けてきたが、松井の劣勢は明らかだった。“最後のお願い”ともいえるアピール弾に指揮官は「誕生日男がやってくれた。美しく、われわれには大きい一発。彼は1年目から本当に勝負強い」と5月8日以来1カ月ぶりの単独3位に導く一撃を手放しに喜んだ。
 試合後は深夜の移動とあって、生野菜やタコスなどジャンクフードを1人寂しくかき込んだ松井だが、チャーター機の中では主役だった。機内のテレビで満塁弾の映像が流れると、ほろ酔い気分の仲間から「マツ~!」の歓声が上がり、ちょっとした“祝宴”となった。同い年のジーター、アブレイユからは「マツは実は38歳なんだよ」とからかわれた34回目の誕生日。松井には生涯忘れられない1日となった。

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2008年6月14日のニュース