金本“第2の故郷”で4年連続アーチ

[ 2008年6月5日 06:00 ]

<楽・神>5回1死一、三塁、金本は右越えに3ランホームランを放ち、新井(左)に迎えられる

 【阪神5-2楽天】“第2の故郷”で阪神・金本のバットがサク裂した。5回だ。1死一、三塁から内角直球を狙い打って9号3ラン。試合の流れをグッと引き寄せ、勝利を呼び込んだ。

 「仙台は大学時代を過ごしてますんで、ちょっとはいいところを見せたいと思っていた。本当にいい球場です」

 貴重な一発は冷静な読みが生み出した。「藤本の時と同じ配球だったからね」と金本。楽天バッテリーは藤本の第1、2打席とも内角を中心に攻めてきた。それをベンチでチェック。1球目の内角高めのボール球を見送ると、内側に入ってきた2球目、142キロを逃さなかった。岡田監督も「あれは大きかったな」と絶賛した。3回は2死から桧山の適時三塁打を呼び込む右中間二塁打。7回にも二塁内野安打と2日連続のマルチ安打で勝利に貢献した。

 広陵から1年浪人して入学した当時の東北福祉大は、まだ無名に近かった。それでも02年8月に他界した伊藤義博前監督(享年56)の下、4年時には初の大学日本一の座を勝ち取った。「東京や関西の大学に負けるな」。師の教えはいまも宿る反骨心の源だ。前日の試合前はその恩師が眠る仙台市内の弥勒寺に足を運んだ。交流戦導入前はオフの多忙な時間を縫って墓前を訪れていたが、05年から始まった交流戦が年に1度の定期訪問を可能にしてくれた。仙台での交流戦は4年連続アーチを含む打率・432、14打点。今年も亡き恩師に元気な姿を見せることができた。

 打線は9回、藤本が見逃し三振に倒れたことでプロ野球史上10度目、セ・リーグでは初となる全員三振も記録した。そんな“屈辱”も勝ってしまえば“珍事”で笑い飛ばせる。2位中日が敗れて、ゲーム差を今季最大の6に広げて独走態勢を固めた。

 「(交流戦で)勝ち越しているのは西武だけ。交流戦で勢いをつけて、レギュラーシーズンもガンガン勝ちたい」。力強いアニキのバットに引っ張られる阪神が、貯金を着々と増やしていく。

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2008年6月5日のニュース