帝京大V5王手 苦戦も1年生司令塔・松田が流れ変えた

[ 2014年1月3日 05:30 ]

<帝京大・慶大>後半3分、トライを決める帝京大・松田(中央)

ラグビー全国大学選手権準決勝 帝京大45―14慶大

(1月2日 東京・国立競技場)
 前半苦しんだ帝京大の沈滞ムードを打ち破ったのは新人司令塔の松田(1年)だった。10―7で折り返した後半3分。敵陣中央でボールを受けると「もう一つ外へ回すサインプレーだったけれど、前がミスマッチだったので、勝負できると思った」とパスをせずに突進した。慶大FWのタックルをスピードでかわし、約30メートルを独走してインゴールに駆け込んだ。

 このトライが口火となって、帝京大は後半5トライの猛攻。前半は対抗戦で75―0と圧倒した慶大の厳しい守備を前に「久しぶりに受けに回った選手を見た」(岩出監督)と反則やノックオンなどのミスを連発して勢いに乗れなかったが、ルーキーの好判断が流れを一気に変えた。

 第2ステージの関学大戦でSOに入って3戦目。1メートル81、86キロとサイズにも恵まれた京都・伏見工出身の逸材は「緊張したけれど、楽しむことができた」と堂々と国立デビューを飾った。岩出監督は「(19年)W杯に出場できる素質を持つ子。いい経験を与えてあげたかった」と新戦力の成長の種をまきながらの決勝進出に満足げだ。

 前半は思いもよらぬ苦戦を強いられたが、5連覇へ向けてはむしろいい流れになってきた。大学最強軍団の不安は慣れや油断。指揮官は「少しつまずきそうなゲームをすることで、次へ最高の準備ができる」と前向きに受け止めている。常勝の慢心を戒める最良の薬ももらった。

 ◆松田 力也(まつだ・りきや)1994年(平6)5月3日、京都府出身の19歳。小1で南京都ラグビースクールでラグビーを始める。伏見工では1、3年花園出場。代表歴はジュニア・ジャパン、U―20、高校日本代表。1メートル81、86キロ。

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2014年1月3日のニュース