FWの早大 3年ぶり決勝 監督も驚く「奇跡」「史上初」

[ 2014年1月3日 05:30 ]

<早大・筑大>後半37分、トライを決めた深津(手前)と抱き合う早大・垣永

ラグビー全国大学選手権準決勝 早大29―11筑波大

(1月2日 東京・国立競技場)
 準決勝2試合を行い、早大(関東大学対抗戦2位)は筑波大(同4位)を29―11で破り、3年ぶりの決勝進出を決めた。10―8の後半28分、相手ボールのスクラムをインゴールまで押して、そのままトライ。「横の早稲田」と言われ、伝統的にバックスに強みを持つ同校が、イメージを覆す強みを見せた。5連覇を目指す帝京大(同1位)は慶大(同3位)に45―14で勝利。決勝は12日、東京・国立競技場で行われる。

 「垣永組」を象徴するトライで、勝利の女神を振り向かせた。後半開始から両校得点を奪えず、こう着状態で迎えた28分。早大は相手陣5メートルライン付近の相手ボールスクラムで、ボールインとともに一気に押し込んだ。うなりを上げる国立競技場を味方につけてインゴールまで押し切ると、ボールを持ち出そうとした相手No・8山本(3年)がハンドリングミス。抑え込んだのはSH岡田(2年)だが、まさにFWの力で奪ったトライだ。

 大男たちはその瞬間、両手を突き出し雄たけびを上げた。その1人、プロップの垣永主将(4年)は「スクラムを組んだ瞬間、いいバインド(結束)だと思った。相手ボールだったのに、まさかトライになるとは。1年間、やってきたことが凝縮されていた」と自画自賛した。後藤禎和監督にも「奇跡ですね。史上初ですね」と言わしめた。

 昨シーズン(12年12月2日)の早明戦。早大は後半にスクラムを何度も崩して認定トライを奪われ、その後に逆転負けを喫した。垣永を含めてFW8人中5人が残った今季レギュラー陣は、スクラムの強化を決意。マシンではなく生身の練習にこだわり、11月にはトップリーグ・ヤマハ発動機の長谷川慎FWコーチの指導も仰いだ。昨年の大学選手権準決勝時に93キロだった平均体重は98・25キロに大幅アップ。垣永は「後ろ5人がしっかり押してくれた。みんながスクラムに責任感を持ってくれた」と感謝した。

 5年ぶり16度目の大学日本一まであと1勝に迫ったが、その前に昨年の準決勝で10―38で敗れた絶対王者・帝京大が立ちはだかる。大学日本一になった時にだけ、歌うことを許される第2部歌「荒ぶる」について垣永は「自分たちは4年間、歌ったことがないので歌えません。練習します」と言った。決戦まで、あと9日。早大フィフティーンに新たな宿題が加わった。

 ▽今シーズンの帝京大VS早大 昨年11月3日の関東大学対抗戦(秩父宮)で対戦。早大は前半を21―19と2点リード。後半に逆転を許したが、17分にSH平野(3年)のトライとゴールで26―26の同点に。30分、相手ロックの町野(3年)に勝ち越しトライを奪われると、さらに1トライを奪われて31―40で敗戦。垣永主将は「フィジカルは絶対的な違いがあった。差を詰めたい」と話した。

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2014年1月3日のニュース