宝塚急死劇団員代理人が糾弾「“ジャニーズ問題”に勝るとも劣らない重要な芸術界における人権侵害事件」

[ 2024年3月28日 17:00 ]

遺族代理人の川人博弁護士
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 宝塚歌劇団は28日、大阪府内で緊急会見を開き昨年9月に急死した宙組劇団員についてこの日に遺族との間で合意書を締結したことを報告した。合意書締結を受け、遺族側代理人も同時刻に会見を開き「執拗なパワーハラスメントの存在を明確に認めたことは、治外法権のような劇団内部の実態を改革し、悪しき伝統を見直す第一歩として重要な意義を有する」と語った。

 遺族側代理人の川人博弁護士は「本合意書は、このような従来の阪急劇団側の不当な対応を変更させ、調査チームの結論を覆したものであり、その意義は大きい」と今回の合意締結の意義を強調。「本合意書によって、劇団幹部、宙組上級生幹部、宙組上級生等が下級生の責任者たる被災者に対し行った執拗なパワーハラスメントの存在を明確に認めたことは、治外法権のような劇団内部の実態を改革し、悪しき伝統を見直す第一歩として重要な意義を有する」とした。

 「今回の合意で一区切り」と語った会見の最後には、本事件を改めて振り返り「宝塚歌劇団は、日本を代表する芸術団体です。この劇団において将来ある若い劇団員の命が奪われたことは、いわゆる“ジャニーズ問題”に勝るとも劣らない重要な芸術界における、芸能界における人権侵害事件」と改めて劇団側の対応を糾弾。「重要なことは、宝塚劇団は企業とは独立した芸術家団体ではなく、関西の経済界において最も有力な集団の一つである阪急阪神グループが所有し運営している組織ということ。収益にも貢献し、グループの顔となる存在。本件の劇団員の死亡という痛ましい現実を、痛苦に反省し、事件後、速やかに遺族に謝罪すべきでした。しかるに、調査チームの誤った報告書の内容に追随し、事実を究明せず、責任をあい昧にし、パワハラを否定し続けてきました。今回は、ご遺族の毅然とした姿勢によって、ついに事件発生後約半年を経て、本日、合意書の締結に至りましたが、阪急阪神グループが反省し改善すべきことは無数にあることを強く指摘しておきます」と語気を強めた。

 合意書では、上級生がヘアアイロンで女性にやけどを負わせた件などパワハラ行為が14件あったことが認められた。調印に当たって角会長が遺族に対して直接謝罪。遺族は「言葉では言い表せないたくさんの複雑な思いがあります。娘に会いたい、生きていてほしかったです」とコメントを発表した。今回の合意で、劇団側が慰謝料用解決金として「相当額の金員を支払う」という合意がなされ、女性の上級生らパワハラ行為をした相当数が、個人として遺族に謝罪文を提出したと説明した。

 宝塚側が行った会見では、劇団の親会社である阪急阪神HD・嶋田泰夫代表取締役社長(59)が「私どもはこの事案の発生を重く受け止めご遺族と話し合いを続けて参りました。宝塚歌劇の上で夢見て希望を持って入団してきたご本人がどのようなお気持ちであったか、その活躍を楽しみにされ、全力でサポートされたご遺族がどのように思われたか。申し開きのいようもございません。心より謝罪を申し上げたいと思います。誠に申し訳ございませんでした」と全面的に謝罪した。。

 歌劇団がこの問題について正式に会見を開くのは昨年11月に続き2度目。この日は嶋田社長、同HD大塚順一執行役員(66)、宝塚歌劇団の村上浩爾理事長(56)が出席した。

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