【王将戦】見事な藤井王将のリカバー ミス悔いながらも平然と飛車取り△5六歩

[ 2024年1月29日 05:05 ]

第73期ALSOK杯王将戦七番勝負第3局第2日 ( 2024年1月28日    島根県大田市・国民宿舎さんべ荘 )

王将戦第3局第2日A図
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 【関口武史 明暗この一手】菅井の封じ手は▲7三歩。藤井の飛車を抑え、続いて▲5五歩と突き出し、先手飛車の可動域を広げる。菅井は内心△同歩▲3六角△6五歩▲7二歩成△6四飛の手順を警戒していた。

 だが藤井は▲3六角の局面が厳しいと判断し見送った。この読み筋の食い違いのように、本局は両者の波長が合わなかったようだ。5筋の歩が取れず△8四角成に▲8二歩成の組み合わせを藤井は軽視しており、本譜は我慢を強いられる展開となった。▲5四歩に△6二銀の後退では確かに面白くない。

 菅井も▲5六角と勝負手を放った胸中を局後「変わる手もない」と悲観していた節で語っている。流れの悪さを引きずるように藤井にミスが重なる。△7五歩を藤井は大いに悔やんだ、理由は本譜の▲8七角を「うっかり」したからだ。△7五歩に代えて△8六とならば有力な変化が多くはっきり後手有利だった。

 ここからの藤井のリカバーが見事で、自身のミスを悔いながらも平然と飛車を取り△5六歩(A図)と垂らしたのが好判断だった。悪い精神状態で手を渡したので▲5五角の切り返しを藤井は恐れていたが、菅井は▲4六角が読みの本線。以下△5七歩成▲7三銀成△同銀▲同角成△8五飛の手順は先手が苦しい。

 菅井は▲5五角も見送り▲5三歩成△同金▲5八歩の辛抱を選択。だがこの手順では勝ちみが薄く、藤井は△6七飛から丁寧に自陣を整備し、最後は△5七歩成とと金をつくり菅井陣を攻略した。(本紙観戦記者)

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