里見香奈女流5冠が大興奮「こんなに濃い内容見られるなんて」地元島根で王将戦大盤解説聞き手

[ 2023年2月27日 05:27 ]

第72期ALSOK杯王将戦第5局第2日 ( 2023年2月26日    島根県大田市「さんべ荘」 )

対局を振り返る里見女流五冠
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 島根県出身の里見香奈女流5冠(30)が26日、大盤解説会の聞き手で登場し、故郷で行われた世紀の一戦を見届けた。王将戦の現場に訪れるのは04年以来、19年ぶり。今回の会場であるさんべ荘で羽生と森内俊之九段(52)の対局を間近で見ており、思い出の舞台で繰り広げられた熱戦に胸を熱くした。

 「印象に残ったのは藤井王将の▲8五飛。右から左への大転回で攻めにつなげて、鋭かった」

 「出雲のイナズマ」の異名を持つ里見が驚く“イナズマ級”の一手。一方で、藤井の猛攻に対し、簡単に崩れないのが羽生。「△4一金としっかり受けてから、△5六歩。自陣に手を入れつつ、いつでもスパッと攻められる態勢を整えていたのはさすがでした」と興奮気味。「地元開催のタイトル戦で、こんなに中身の濃い内容を見られるなんて」と目を細めた。

 藤井とは16年にプロ養成機関「奨励会」の三段リーグで初対戦。公式戦では、18年の棋聖戦1次予選で初めて対局した。当時、藤井は七段。「終盤力がたけているけど、序盤が課題な時期でした。今や苦手を克服し、一切隙がなくなりました」と絶賛した。

 プライベートで交流がない藤井については「どんな勉強をしているか聞いてみたい」という。羽生には、00年に出雲市で行われた将棋イベントで同じ質問をしたことがある。AIが発達した現代将棋で「藤井王将は人間としての可能性を見いだす存在。AIすら超える指し回しはどうして生まれるのか」と腕を組む。女流棋界の最前線を駆け抜ける里見にとっても刺激になっていた。

 次局で藤井防衛か、羽生勝利で最終決戦か。勝負の余韻は冷めやらず「この対決をもっと長く見ていたい!」と熱いまなざしを向けていた。(小田切 葉月)

 ≪羽生九段の△3三桂に西川六段“想定外”≫対局場になったさんべ荘では前日に引き続き大盤解説会が行われた。この日、会場が一番沸いたのは、羽生が82手目に△3三桂と跳ねた瞬間だった。騒然とした雰囲気が漂い、解説を務めた副立会人の西川和宏六段も「凄い手が出ましたね。全然想像もしていませんでした」と興奮を隠せなかった。終局後、藤井と羽生が感謝のあいさつに訪れ、会場を埋めたファンは盛大な拍手。地元・大田市から母親と来た中学1年、福谷颯介さん(13)は「凄いお二人の戦いを見られて感動しました」と話した。

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