ダルビッシュ「数字を否定してもダメだけど数字が全てだと思ってもダメ」20年目の新境地でスイーパー進化

[ 2024年3月24日 22:37 ]

パドレスのダルビッシュ(AP)
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 パドレス・ダルビッシュ有投手(37)が23日、テレビ朝日系「タモリステーション MLB開幕! 日本人選手大追跡SP」生放送にVTR出演。日本ハムの栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO=62)の直撃取材を受け、大谷翔平投手(29)と山本由伸投手(25)が今季から所属する同地区のライバル球団・ドジャースについてや、自身の今季への新たな試みなどを語った。

 昨年世界一に輝いた第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)以来、約1年ぶりの再会を果たした2人。大会当時、勝利への重圧を含めて張りつめていた指揮官を心配していたというダルビッシュが「顔が元気になりましたね」と笑顔で語り掛けると、栗山氏は「今は普通に戻ったよね?ありがとう」とうれしそうに笑った。

 それを受けて今度は栗山氏が「去年、肘の状態があまり良くなくて…シーズンを終えた時に凄く責任を感じて。すみませんでした」と謝罪。ダルビッシュは「自分でしたことですし、WBCがなくてもそうなっていたと思う」と自身の昨シーズンを気遣う“恩師”を真っすぐ見つめて語った。

 あれから1年。チームメートとして認め合い、高め合った大谷と山本がライバル球団に移籍し、敵として地区優勝、そしてワールドシリーズ出場を争うことになった37歳レジェンド右腕は、今年の取り組みを栗山氏に明かした。

 大谷がWBC決勝でトラウト相手に最後に投げた「スイーパー」。そのスイーパーに改良を加えて手応えを感じているという。これまでもこの球種を投げていたダルビッシュは「今、いろいろ数字とか出るじゃないですか、トラックマンとかの。その(球速や回転数などの)数字は美しいわけですよ。この球速で、こんだけ曲がって凄いって言ってもらえるんですけど。それはあくまでそこ(データ)の話で、バッターがどう見えてるかは別じゃないですか。去年、僕の中で数字とバッターの反応がしっくりきてなくて…“何でなんだろう、何でなんだろう”って思ってて」とデータが示す「美しい数字」と結果のギャップに悩んでいたと告白。

 そして、この「スイーパー」の改良に乗り出したダルビッシュ。「スイーパーって横に曲げるので」とボールをリリースする際の指や手の動きを再現。横に巻くようにして投げるため「曲げようとすると体もそう使いますし、これだと打者から見える」と分析した。その上でボールを縦に切るイメージの動きを見せ「数字ではたいしたことはないんですけど、バッターの反応は凄くいいんですよ」と“新スイーパー”への手応えを口にした。

 WBCの宮崎合宿でも、ブルペンなどで佐々木朗希や戸郷に対してデータを元にアドバイスを送る姿が印象的だったダルビッシュが「数字を否定してもダメだけど、数字が全てだと思ってもダメ」と新境地にたどり着いたプロ20年目。飽くなき進化を求める37歳の今シーズンの活躍、そして大谷や山本との優勝争いから、目が離せない。

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