侍・村上 6番で生き返れ!令和の3冠王お目覚め弾「走り方を忘れてしまいました」 さあ9日中国戦へ

[ 2023年3月8日 05:25 ]

侍ジャパン強化試合   日本代表9-1オリックス ( 2023年3月7日    京セラD )

<オ・侍>初回、左中間3ランの村上(左)は大谷(中央)と吉田に迎えられる(撮影・大森 寛明)
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 昨季3冠王が待望の初アーチだ。侍ジャパンは7日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕前最後の実戦となる強化試合でオリックスと対戦。不調が続いていた村上宗隆内野手(23)が初めて4番を外れて「6番・三塁」で出場し、初回に今春20打席目で初アーチとなる左中間3ランを放った。チームは9―1で快勝締め。9日に迎える初戦、1次ラウンド中国戦(東京ドーム)を前に、主砲の一発が打線を活気づけた。

 村上は「正直悔しかった。4番を打ちたい思いもある」と打ち明けた。実戦5試合ノーアーチ。16打数2安打で打率・125と苦しんでいた。「走り方を忘れていた。ホッとした」。3万3357人の観衆から歓声を浴び、大谷に頭をポンと叩かれて祝福されても、表情は変えなかった。

 昨年11月の強化試合から不動の4番だったが6番に下がった。栗山監督体制に入ってから10試合目で初めて指定席を外れた。もう意地だった。初回2死一、二塁。新4番・吉田の適時打の直後だ。東の150キロ直球を振り抜き、左中間スタンドに到達。今春の日本代表で20打席もかかった待望の3ラン。裏に本人の必死の取り組みと周囲の支えがあった。

 <1>突貫工事 史上最年少3冠王に輝いた昨年は「不動の構え」だったが打席でリズムを取るように右足のかかとをトン、トン、トンと浮かせて待った。「静から動」のフォームから「動から動」へ。打席で硬くなっていた動きをほぐし、腕を大きめに動かしながら投球を待つタイミングの取り方に変えた。「日々、試行錯誤。来た球に思い切りスイングできた。1本出たところで準備はできた」ともがいていた。

 <2>栗山監督の決断 栗山監督は本戦直前に断を下した。不振からの復調を待っていたら大会は終わってしまう。非情だが、短期決戦の鉄則だ。気分的に楽な打順は復調のきっかけにもつながる。「3冠王なので、必ず始まったら打ってくれる」と信頼を寄せ、今後の打順は「一晩考えます」と語った。

 <3>大谷の存在 大谷が初出場した6日に、いきなり目の前の3番で異次元の2発。「4番として僕が打てれば大谷さんも楽に打席に立てる」と自らを奮い立たせた。YouTubeで大リーグの試合ダイジェストを見て「次元が違う」と感じていた雲の上の存在が、4日の中日戦で身ぶり手ぶりを交えながらベンチで助言してくれた。「プラスになる言葉をかけてもらった」と感謝した。

 待望の一発の後は3打席連続空振り三振。まだ本来の打撃ではない。ただ、持ち味の逆方向に運んだ一発に復調の気配が漂う。「どの打順を任されても、言われた打順で結果を出す。下を向かず必死に戦いたい。必ず打ちたい。勝ちに導く一打を打つ。とにかく勝つ」。泣いても笑っても9日、本戦に突入する。(神田 佑)

 ≪「6番アーチ」は自身初≫村上(ヤ)が初回に3ラン。日本代表での本塁打は東京五輪決勝の米国戦と、昨年11月5日の日本ハム戦、同6日の巨人戦(2本)、同9日の豪州戦(いずれも強化試合)に次ぎ通算6本目。東京五輪は先発8番で放ち、昨年の強化試合は全て4番。6番でのアーチは自身初めてだ。ちなみに公式戦通算160本塁打のうち先発6番は16本。先発4番の125本に次いで多い。

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2023年3月8日のニュース