阪神・岡田新監督 筋金入りの猛虎党として「打倒巨人」 原監督との再戦に闘志

[ 2022年10月26日 07:00 ]

07年9月7日、巨人戦の9回に決勝ソロを放った桧山(中央)を迎える岡田監督(左)
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 【連載・岡田の考え(9)】「傘」に「立ちション」。いろんな例えを盛り込みながらの岡田彰布流の指導が始まっている。大阪・玉造で紙製品加工の会社を経営していた岡田の父は、筋金入りの阪神ファンだった。藤村富美男、三宅秀史、村山実、吉田義男ら多くの選手との交友があり、岡田も物心ついて以来の猛虎党だった。

 中学時代、73年3月に行われた村山の引退試合の前にはキャッチボールの相手を務めていた。岡田の座右の銘「道一筋」は村山が好んで使った言葉だった。そのDNAには「打倒巨人」が刻み込まれている。第一次監督時代も巨人戦には闘志を燃やした。
 勝つために、巨人はしっかりと戦力を整えてくる。岡田はそうライバルを見ている。「何もせんかったら巨人は強い」のイメージは今も持っている。歴史と伝統に支えられたプライド、層の厚さからくる総合力。就任会見では「巨人に対する特別な思いはない。原監督も全然大丈夫。今はヤクルトじゃないか」と言いながら、宿敵の動向には注意を向けているはずだ。

 「特に東京ドームでは割り切っていかんとあかん。ソロならしゃあない。ランナーをためて、ドンと一発がないように徹底しないといけない。ホームランを怖がって、窮屈な投球になったら負ける」と前回も敵地での守りを重視していた。言葉通りの展開になった試合がある。07年9月7日の東京ドームでの伝統の一戦だ。巨人は先発ボーグルソンに初回から襲いかかった。初回に高橋由伸、2回に李スンヨプ、ホリンズと一発攻勢をかけた。李スンヨプは1試合3発、高橋由も2発。巨人は実に7本塁打を阪神に浴びせたが、6本はソロ本塁打。試合は9回に桧山進次郎の決勝アーチで阪神が勝利。7発の巨人を1発の阪神が下したのだ。「ソロならしゃあない」と打たれるのは織り込み済みで、反撃を続ける。これも岡田流の戦いだ。

 この試合を含め、06年から3年間、「腹の探り合いやった」と語る1年下の原辰徳との勝負がまた待っている。08年は一時13ゲーム差をつけながら、巨人に逆転優勝をされ、岡田は辞任を決めた。今ドラフトでも高松商・浅野翔吾を巡り、1位で競合。抽選では先に引いた原が交渉権を獲得した。「残りものやからしようがない。どうしようもない」と語ったが、負けず嫌いがグッと強くなった前哨戦だった。悔しさは必ずグラウンドで晴らす。=敬称略=(鈴木 光)

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2022年10月26日のニュース