仙台育英 逆転8強!宮城大会ベンチ外の代打・岩崎が反撃打&決勝犠飛「日本一までいきたい」

[ 2022年8月16日 04:08 ]

第104回全国高校野球選手権大会第10日・3回戦   仙台育英5―4明秀学園日立 ( 2022年8月15日    甲子園 )

<仙台育英・明秀日立>4回1死一、三塁、適時打を放つ仙台育英・岩崎(撮影・岸 良祐)
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 3回戦4試合が行われた。仙台育英(宮城)は明秀学園日立(茨城)に逆転で19年以来3年ぶりに8強進出。宮城大会はベンチ外の岩崎生弥(いくや)内野手(3年)が途中出場で適時打と決勝犠飛を放った。3年ぶりに一般客も入場可能となり3日連続で入場券が完売。日増しに注目度が高まる聖地で頂点に立ち、深紅の大優勝旗を初めて東北に持ち帰る。また高松商(香川)と近江(滋賀)も8強入りし、18日の準々決勝で激突する。

 野球ができる。しかも甲子園で。身長1メートル68で背番号14の岩崎は、その喜びを表すように躍動した。「いつでも出られる準備はしてきたので今日の結果につながりました」。宮城大会でベンチ外だった男がチームに不可欠な存在となっている。
 まずは1―3の4回。1死一、三塁で代打で中前適時打を放った。連続押し出し四球で4―4とした7回は1死満塁で打席へ。相手バッテリーは必ずストライクを取りにくると予想し、決めた。「初球を狙う」。高めの甘いスライダー。的確な読みと勝負強さで、決勝の中犠飛を放った。

 2年生だった昨年6月。突然、短い距離を走るだけで呼吸がしづらくなった。中学まで大病もなく、すぐに母・千春さん(43)に「自分はぜんそくかな…」と連絡。病院に向かうと運動に伴い発作が誘発される気管支ぜんそくの一種「運動誘発ぜんそく」と診断された。その後に胃の一部が横隔膜から突出する「食道裂孔ヘルニア」と「逆流性食道炎」も次々に発症。約2カ月は寮から自宅に帰り、10種類もの薬を服用しながら療養した。

 チーム復帰後も通常メニューはこなせず、練習サポートからスタート。地道に、やれることを続けた。最上級生となった今年もレギュラーへの道は遠かったが諦めない。ベンチ外だった宮城大会期間に行われた紅白戦で活躍し今大会のベンチ入りを勝ち取り、好きな言葉でもある「下克上」を体現した。鳥取商との初戦でも代打で2点打を放っており、これで今大会は3打数2安打4打点。須江航監督も「勝負強さは頭が下がるし見ていて涙が出る。(努力を)重ねてきたことが素晴らしい」と称える。

 最速140キロ超の投手を5人そろえ、王者・大阪桐蔭の対抗馬と期待される。「守り勝って日本一までいきたい」と岩崎。病魔もはね返した「代打の切り札」は、東北勢悲願の頂点だけを見据える。(田中 健人)

 ◇岩崎 生弥(いわさき・いくや)2004年(平16)6月7日生まれ、宮城県大崎市出身の18歳。小1時に大崎ジュニアドラゴンで野球を始め、古川中時代は宮城仙北ボーイズと同校軟式野球部でプレー。仙台育英では今春県大会でベンチ入り。「どん底からはい上がるのが好き」という理由から好きな言葉は「下克上」。1メートル68、67キロ。右投げ右打ち。

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