エンゼルス・大谷 サイ・ヤング賞へ「勝利数至上」は過去の話 投票基準は記者それぞれ

[ 2021年8月20日 02:10 ]

ア・リーグ   エンゼルス3-1タイガース ( 2021年8月18日    デトロイト )

<タイガース・エンゼルス>8回1失点で今季8勝目を挙げた大谷(AP)
Photo By AP

 【投手の栄冠選考事情 奥田秀樹通信員が解説】本塁打王とサイ・ヤング賞という、誰も空想すらしなかったダブル受賞はあるのか…。試合後、可能性を問われたジョー・マドン監督は「候補にはなるだろう。3冠王はないとしても他の全ては候補」と語った。そんな夢物語が浮上する背景には、近年の同賞の投票基準の多様化がある。

 同賞は全米野球記者協会が任命した記者30人の投票で決まる。以前は勝ち星が重視される傾向にあったが、デグロム(メッツ)は18年が10勝、19年は11勝で連続受賞した。昨年のナ・リーグはバウアー(レッズ)が選ばれ、ダルビッシュ(カブス)は2位。どんな基準で決めたのか聞くと、30人のうち22人が回答してくれた。

 被打率は重要な指標ではあるが、被安打数は味方の守備力にも影響される。被本塁打、与四死球、奪三振のみで計算する「FIP」という指標を重視する記者がいた。打球速度などで許した打球の質を吟味する人もいた。抽象的な要素もやはり大事という記者は、シーズン終盤の重要な試合の内容、球場で見るマウンドでの戦う姿勢なども加味する。近年は新たなデータが続々と生まれ、記者たちは投手の評価には何が良いのか、最適解を求め議論を戦わせている。

 現在の100投球回は明らかに少なく、規定にも達しないだろう。8勝はリーグトップのバジット(アスレチックス)の12勝に及ばない。一方で被打率・190はリーグトップのリン(ホワイトソックス)の・199を上回る。日本の沢村賞とは異なり先発完投型という条件もなく、過去に救援投手の受賞もある。十人十色ならぬ、30人30色の投票基準。大谷の命運を握る今年の投票者30人は15日に電子メールで通達された。

 ▽サイ・ヤング賞 レッドソックスなどでプレーし、メジャー歴代1位の通算511勝を挙げたサイ・ヤングの功績を称え、その年の最も活躍した投手に贈られる賞。選考は全米野球記者協会会員の投票で決まる。ヤングが死去した翌年の1956年に制定され、第1回はドジャースのドン・ニューカムが受賞。67年以降はア、ナ両リーグから1人ずつ選出。最多受賞はロジャー・クレメンスの7度。

続きを表示

2021年8月20日のニュース