甲子園「継続試合」大会後に導入検討へ 99年ぶり2度ノーゲームで拍車

[ 2021年8月20日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権大会

<近江・日大東北>試合が中断となり、さらに激しい雨に見舞われる甲子園球場(撮影・北條 貴史)
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 日本高野連は19日、高校の硬式野球でサスペンデッドゲーム(一時停止試合)の導入を検討する方針を示した。甲子園で開催されている第103回全国高校野球選手権大会でノーゲームやコールドゲームが相次ぎ「継続試合」として大会後に話し合う。この日行われた2回戦2試合は京都国際と高松商(香川)が勝利。降雨ノーゲームの第1試合・近江(滋賀)―日大東北(福島)の1回戦と中止の第2試合・西日本短大付(福岡)―二松学舎大付(東東京)の2回戦が20日に順延となった。

 悪天候によって前例のない順延が続く、2年ぶりの甲子園大会。第6日の第1試合、日大東北―近江の1回戦は、5回途中に強くなった雨のため、中断。異例の2時間22分の中断後に今大会2度目のノーゲームとなった。

 12日の1回戦・ノースアジア大明桜―帯広農も4回終了時にノーゲームに。17日の東海大菅生―大阪桐蔭の好カードは、8回途中でコールド決着となった。投手が投球時にマウンドで転倒したり、田んぼのようなグラウンドで打球が内野手の前で止まるほどの大雨だった。勝った大阪桐蔭ナインも複雑な表情を浮かべるなど、雨中の試合を疑問視する声が上がっていた。

 この日午後、大会本部は第1試合がノーゲームになった経緯を説明。その中で、小倉好正事務局長(63)は中断時の条件で後日試合を再開するサスペンデッドゲームについても触れ「投手の障害予防、球数制限についていろいろな課題が出ている。大会が終わった後、整理しながら検討していきたい。サスペンデッドではなく、“継続試合”の表記で昨年も議論した。今後も検討していきたい」と明かした。

 高校野球では軟式大会でサスペンデッドゲームが適用されているが、硬式で導入となれば地方大会を含めて初となる。「1週間500球以内」の球数制限はノーゲームでも球数がカウントされるだけに、ノーゲームがなくなるメリットは大きい。悪天候の中での試合は選手の故障にもつながる恐れがあり、これも防ぐことができる。

 この日の第1、第2試合の順延を含め、史上最多の7度目の順延となった。日程消化の後押しにもつながるサスペンデッドゲームの導入は、昨年から議論されてきただけに、くしくも今大会を襲った長雨が、議論を加速させることになりそうだ。(川島 毅洋)

 ≪サスペンデッドの末14年軟式野球準決勝4日がかり「50回」≫サスペンデッドゲームは日没や悪天候などで試合続行不能となったときに一時中断し、翌日以降に試合を再開するもの。14年8月28日に行われた全国高校軟式野球大会の準決勝・中京―崇徳戦は15回まで0―0でサスペンデッドに。29日も30回まで、30日も45回まで0―0で、31日の50回表に中京が3点を奪い、3―0で勝利した。中京の松井大河、崇徳の石岡樹輝弥は50回を投げ抜いた。松井は31日の同日に行われた三浦学苑との決勝にも救援し、2―0で優勝に貢献。1週間で計1047球を投じた。

 ≪大会史上20度目ノーゲーム≫日大東北―近江の1回戦は5回裏途中に降雨のため、大会史上20度目のノーゲームになった。今大会は12日のノースアジア大明桜―帯広農の1回戦に続き、2度目。1大会で2度のノーゲームは09年の第91回大会、高知―如水館の1回戦以来。降雨による史上初の2試合連続ノーゲームの末、3日目に高知が9―3で勝った。異なる2カードでのノーゲームは1922年の第8回大会以来99年ぶり。ともに準々決勝の広島商―松山商、神戸商―島根商がノーゲームになった。

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