前橋育英・外丸東真が見せた熱投 卒業生で元吹奏楽部の姉も観戦「仲間を信じた」

[ 2021年8月20日 11:57 ]

第103回全国高校野球選手権2回戦   前橋育英0―1京都国際 ( 2021年8月19日    甲子園 )

<京都国際・前橋育英>好投するもソロ本塁打の1球に泣いた前橋育英・外丸(撮影・北條 貴史)
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 5大会連続6度目の出場となった前橋育英(群馬)は19日、初戦の2回戦で京都国際と対戦し0―1で敗れた。先発したエース右腕の外丸東真(あづま)投手(3年)は4安打1失点で完投したものの、2回に許したソロ本塁打に泣いた。打線は4安打に封じられ、完封した京都国際の森下瑠大(りゅうだい)投手(2年)から得点を奪えなかった。

 
 甲子園のマウンドが心を燃やす。0―1で迎えた8回2死三塁。外丸が投じたこん身の138キロ直球に打者のバットは空を切った。7個目の三振に「常に冷静」を信条とするエースは珍しく叫んだ。
 「一球一球、丁寧にコースを突いていこうと思った。(群馬大会と違って)気持ちを前面に出していけた」

 相次ぐ降雨順延の影響で、当初の予定より6日遅れの初戦。コンディション調整の難しい状況だったが、春夏連続出場の京都国際相手に8回を4安打1失点の好投を見せた。

 最速144キロを誇る右腕は「大きな舞台で少し緊張してしまった」と2回に4番・中川勇斗(3年)に先制ソロを被弾。その後は立ち直り、直球とスライダーを低めに集める丁寧な投球が光った。
 ノーシードから優勝した群馬大会は、6試合で計42回1/3を投げて7失点と大黒柱の活躍を見せ、決勝は延長12回を投げ抜いた。甲子園でも変わらぬ好投を見せたが、打線が京都国際の左腕・森下に完封を許し、目標の日本一は逃した。本塁打を許したスライダーを「完全に失投。負けにつながって、申し訳ない気持ちでいっぱい」と涙で振り返った。

 3学年上の姉・理子さん(20)も同校出身。吹奏楽部のホルン担当でセンバツを含めて4度も甲子園で演奏した。外丸は中学1年の夏に姉の演奏が響く甲子園を訪れ、ベンチ入りできなかった19年夏はスタンドで見守った。夢のマウンドに立ち「グラウンドから見る景色は格別なものがあった」。理子さんは「自分の時より力が入った。仲間を信じているから良い投球ができたと思います」と弟の成長を喜んだ。

 群馬大会6試合で1失策の高い守備力は聖地でも健在。無失策で守り抜き、自分たちの野球で一歩も引かない戦いを見せた。13年夏に日本一に導いた荒井直樹監督は「自分の想像を超えるチームになったのは3年生の団結力。それを称えたい」と敗戦にも目を細めた。(柳内 遼平)

 ▼阿部咲人(さきと)捕手(3年)序盤から自分たちらしい守備ができた。外丸には「ありがとう」と言葉をかけたい。
 ▼井上陽太二塁手(3年)自分たちは守備からリズムをつくれた。走者つきのノックの成果が甲子園で出たと思います。外丸が自分たちのエースで良かった。
 ▼野村慶三塁手(3年)初回に自分が走者を還せなかった。悔しい気持ちでいっぱい。後輩たちには甲子園で日本一を目指してもらいたい。

 ◇外丸 東真(そとまる・あづま)2004年(平16)2月22日生まれ、前橋市出身の17歳。小3から野球を始め、桂萱中では軟式野球部に所属。前橋育英では2年夏からベンチ入り。遠投100メートル。50メートル走6秒3。憧れの投手はオリックス・山岡。1メートル72、72キロ。右投げ右打ち。

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